日本は文化的に平等主義的なところが多い。
基本的には誰もを均等に扱おうという文化だし、区別するのはよく無いというのが一般的な風潮になっている。数字的には格差が広がっても来ているが、文化的なこの考え方は他国にも誇れる部分も多い。
では、企業内の教育でも、平等主義で行かないといけないのだろうか?
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平等主義ができれば、それはそれでいい
結論からいうと、平等である必要はない。
もっと正確に言うと平等にやれるならやってもいいが、それをカバ−するだけの金銭的および人的リソースが確保できるような企業はまずないだろう。
教育は時間も労力もお金も使う。
受けて欲しい教育プログラムがハイレベルでありリソースを使うものであればあるほど、「平等に全員に教育を」というのは難しくなっている。
まして企業は営利団体だ。国のように治安や格差を考える必要は無い。むしろ他社と格差をつけるのがビジネスの一側面だ。
平等主義的に全員を育成するよりも、費用対効果を考えて、ターゲットを絞って教育を行った方が圧倒的に効果が出やすい。
では、どのように選抜していくか?
これにはどういう目的で教育をするかによって違う。
エグゼクティブ教育では?
エグゼクティブ教育はトップの成績を収めている人を数字と現場からの評価でピックアップすればいい。
数字だけで判断するのではなくて、人から好かれる能力や確固たる信念などもエグゼクティブには必要なので評判も判断基準にするのは必須だ。
企業の底力を上げるという意味では?
学習という側面で見ると、企業内には3種類の人がいる。積極学習層・消極的学習層、学習拒否層の3種類だ。
積極学習層
この層は勝手に勉強する人たちで、学習と経験により能力が上げられると固く信じている。学習による成功を味わったことがある層だ。この層は何もしないでも勝手に成長していく。
- 本を読んで、それを実践する。
- 人に話を聞きに行って、それを可視化する
- PDCAサイクルを一人手に回している
など、とても楽に成長して、将来企業になくてはならない存在になっている。
この層に必要なのは、その人のキャラクタにあっているのであれば、エグゼクティブ教育だろう。将来の経営層になってもらえる人とたちだからだ。
それ以外の研修は不要だし、むしろ喜ばれないことも多い。他の参加者と学習の速度感が違うし、時間がもったいないと感じたりするからだ。
勉強会などに自らの意思で勝手に行くので、そこの支援などだけしてあげれば十分だ。
消極的学習層
この層は報酬があったり、役立つことが確実なことにだけ勉強する人たちだ。この層が企業構成人員の多くを占める。
2:6:2の法則的にはここが6の部分だ。
彼らは「知識は増えても能力は上がら無い」と思っている人たちだ。必要な知識は必要なときに身につけるが、それが能力アップには繋がらない思っている層だ。
「試験前だけ勉強して、平均点を目指す人たち」というとわかりやすいかもしれない。この層の人たちをいかに積極学習層に変えることができるかが、企業を左右する。
消極的学習層
この層は、勉強自体を拒否する人たちだ。学習に対しての成功体験がない。自分は変わる必要がない。また、周りの責任にしがちなのがこの層だ。
色々な考え方があるとは思うが、基本的なスタンスとしては「教育は施さないでいい」。消極的学習者に変わってくれるまでは、いくら投資しても無駄遣いになる。
この層は学習というもの以上に、自分の能力自体を悲観していることが多い。そのため、マニュアルなどが揃っている仕事を与えて、小さい成功体験を繰り返してもらうことが解決策として正しい。
教育プログラムでどうにかなる層では無い。
上記のように企業は、マジョリティでもあるし、企業の命運を握っている消極的学習層に教育を積極的に行っていくべきだ。
どういう研修を実施していくべきか?
マジョリティに実施して効果的なのは、理念達成や行動規範など考え方に関する教育プログラムだ。
考えの指針を一緒に作っていくような教育で、理念を達成するためにはどうしたらいいか? この決定は理念に沿ったものか? などをきちんと捉えられて、自分で判断できるようになるだけで、人材は一気に成長する。
もう一つ効果的なのは、学習の習慣をつけてもらう教育だ。
人間一人の経験値というのは、どれほど頑張ってもそう増えない。起きる問題への対処や、起こさなければならないイノベーションというのは、これまでの経験にないものはなずだ。
そういったときに頼りになるのは、学習と実行しかない。案があるのであれば、とにかくやってみるもいいだろうが、そもそものアクションが思いつかなければ勉強する以外にない。そして、多くの企業でぇあ、こちらのアイディアがまったく思い浮かばないという人が多い。
学習の習慣化は、企業にとって有益なだけではなくて、その人の人生の質を高く上げることもできる。非常に意味がある教育だ。
まとめ
新入社員研修やコンプライアンス・危険回避の研修などは全員参加で構わないだろう。
しかし、人材育成という意味では全員に平等にというのではなく、必要な層に必要な教育を提供した方が効果は高い。
教育の費用対効果を高めるためにも、教育のターゲットは考えつつ、教育プログラムを組むことをオススメしたい。