新人は、先輩社員が想定しているよりもささいなことで躓き、モチベーションが低下してしまうものだ。
先輩社員は、新人の業務をサポートし、早期に戦力となるよう成長させていかなければならないが、どのように指導したらよいかわからないと悩んでいる人も多い。
その悩みを解決し、先輩社員の指導力を高めていくためには、新人フォロー研修が有効である。
このページでは、研修担当者と部下を持つマネージャーのために、新人フォロー研修で押さえるべきポイントについてまとめている。
新人フォロー研修の実施や日々の新人育成の参考にしてほしい。
Contents
悩みその1:何の相談もなく仕事が止まってしまう
「自分ひとりでやり遂げなければ」という姿勢はとても素晴らしいものだが、真面目で責任感が強い新人ほど、相談することを躊躇してしまう傾向がある。
新人フォロー研修のポイント:ホウレンソウ指導
このようなケースでは、新人にホウレンソウ(報告・連絡・相談)の癖をつけさせるように指導することが必要だ。
わからないことや気になること、納期までに終わらなさそうだと思った時は、すぐに相談するよう伝えておく。
「わからないのは当然で、相談するのは恥ずかしいことではない」
「困った時に周りに協力を仰ぐことは普通のこと」
これらをしっかりと理解させておけば、新人からもコミュニケーションを取りやすくなるだろう。
悩みその2:業務が完了しているのに報告がない
例えば、会議で使う資料のコピーを任せたとする。
先輩社員としては、それを受け取って会議の設営に取り掛かりたいところなのだが、一向に完了報告がされない。
確認すると、「さっき終わりました」と新人の一言。
これでは、「さっき」の段階で終わっていたはずの会議の設営が遅れてしまうことになる。
新人フォロー研修のポイント:チームワーク指導
このようなケースでは、新人に、仕事はチームで行うもの、という意識付けをさせることが必要だ。
「自分だけで全ての仕事が完結するわけではない」
「自分が報告をしないと先輩が会議の設営に取り掛かれない」
これらのことがわかれば、チームワークの重要性が理解でき、その結果、ホウレンソウも自然にできるようになるだろう。
悩みその3:時間を持て余している
作業が落ち着くと、ついついさぼってしまう新人がいる。
これには、周りが忙しそうにしていて声をかけづらいと気遣いをしているケースと、要領が良いため仕事が早く終わってしまうケースがある。
新人フォロー研修のポイント:コスト意識指導
このようなケースでは、新人に、社会人として必要とされるコスト意識をレクチャーすることが必要だ。
仕事中は、常にコストが発生しており、そのコストを売上に繋げるように働かなければならない。
自分がボーっとしている時間のコストはどのくらいなのか、その間に積極的に仕事をするとどのくらいの売上に繋がるのか、新人が実感できるような指導が必要である。
悩みその4:全ての業務が中途半端になってしまう
新人に複数の業務を任せると、何も仕上げられずに1日が終了してしまう、ということがある。
例えば、大変な業務から手をつけてしまったため、その業務だけでなく、他の比較的簡単な業務も終えられなかった、というのはよく見受けられるケースだ。
新人フォロー研修のポイント:優先順位とTODOリスト指導
このようなケースでは、新人に、業務の優先順位の付け方について指導する必要がある。
「納期が先で事務的な業務=直近の優先度は低い」
「顧客が関わっている業務=いつでも優先度が高い」
という具合だ。
また、作業の大きさで判断する方法もある。
「すぐ終わりそうなもの=今すぐに取り掛かる」
また、普段からTODOリストを作成させ、常に自分が抱えているタスクを「見える化」して管理することもお勧めしたい。
悩みその5:考えすぎて納期がギリギリになる
慎重なタイプの新人に見受けられるケースだ。
「常に完璧でなければならない」と思っているため、時間をかけて考え抜き、結果的に納期がギリギリになってしまう。
新人フォロー研修のポイント:スピード指導
このようなケースでは、新人に、クオリティよりもスピードが大切であることを教えておくことが必要だ。
新人に任される業務では、納期ギリギリの90~100%よりも、60%でもすぐに完了させるスピード感が求められることが多い。
その方が、先輩や上司がブラッシュアップする時間が確保でき、結果的に質の高い業務にすることができる。
悩みその6:送ったメールに返信がない
情報共有をメールでしている企業も多いだろう。
確認や業務指示のメールを新人に送ったものの、ずっと返信が無いのでは、ちゃんと伝わっているのか、そもそも読んでいないのかわからず、結局、直接確認することになり、余計な手間になってしまう。
新人フォロー研修のポイント:メールマナー指導
このようなケースでは、新人に、メールは会話同様、すぐに返事をするのがマナーであることを指導しなければならない。
そのためには、先輩社員が普段からメールにすぐに返信することを実践して、「それが社会人として当たり前のマナーである」ということを認識させると良い。
すぐに回答できないメールには、内容をしっかり確認した意思を示す習慣をつけさせる。
「承知しました。○日までに確認して返信します」の一言でもあれば、送った方としては安心するだろう。
悩みその7:引継ぎが支離滅裂でわからない
新人から顧客対応を引き継がれたが、何をしたらいいのかさっぱりわからない、という経験をした先輩社員は多いだろう。
結果的に、もう一度顧客に状況を聞くことになり、更なるクレームへと繋がりかねない。
新人フォロー研修のポイント:伝え方指導
このようなケースでは、新人に、要点をまとめて簡潔に伝える方法について指導する必要がある。
比較的簡単に実践できるのは、結論を最初に持ってくる伝え方だ。
結論がわかれば、事の重大さがどの程度なのか、今とるべき対応が何なのかを判断するのにも時間がかからない。
これに限らず、仕事上のコミュニケーションには「PREP法」「5W3H」など、様々な考え方がある。
状況に応じた伝え方ができるように指導していきたい。
悩みその8:業務クオリティが上がらない
業務に少し慣れてくると、流れ作業のように仕事を進めてしまい、なかなかクオリティアップが見られないことが多い。
目の前の業務をより良くするにはどうしたらよいか、考えながら仕事をするのは難しいものだ。
新人フォロー研修のポイント:問題発見指導
このようなケースでは、新人に、問題意識を持たせるように指導していく必要がある。
新人はベテラン社員よりも顧客目線に近いことが多い。
「どうすれば今まで以上に顧客が満足するか」について考えさせていくことで、問題発見の意識を育てていきたい。
悩みその9:目標達成できない期間が続いている
営業成績が伸びず、悩みを抱えている新人は多い。
壁をなかなか乗り越えられず、久しく目標達成できていないことから、自信を失ってしまうケースもよく見受けられる。
新人フォロー研修のポイント:逆算思考指導
このようなケースでは、新人に、目標達成のステップを意識させ、逆算思考で考えさせることが必要だ。
まず目標を設定させて、達成のために何をすれば良いかについて考えさせる。
その際の目標は、「現状より少し頑張って達成できそうなレベル」から始めて、成功体験を増やしていくことがポイントである。
悩みその10:ネガティブな発言や態度が多い
注意されることが多いと、新人たちも委縮してしまい、ネガティブな思考に囚われてしまう。
「どうせ自分は」と塞ぎ込んでしまうこともあるだろう。
新人フォロー研修のポイント:自己評価指導
このようなケースでは、新人に、「できなかったこと」よりも、「できたこと」に目を向けさせる指導が必要だ。
些細なことでも「できたこと」に目を向けさせ、しっかりと自分を評価させる。
先輩社員は、新人ができたときにタイミングよく褒めて、自信をつけさせていくことを忘れてはならない。
まとめ
先輩社員にとって、新人への指導はとても難しいものだ。
新人のためにも、先輩社員のためにも、そして新人を早期戦力化して企業の業績を向上させていくためにも、新人フォロー研修は極めて重要である。
このページを参考にして、一人でも多くの先輩社員の悩みを解決し、新人をスムーズに成長させていく研修が実施されることを願っている。