異文化理解を深めるための8つの領域とは?

異文化理解
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外国人労働者を受け入れる企業が増えている。

近年では、飲食店のように人手不足によるものだけでなく、IT企業のように海外の優秀なエンジニアを積極的に採用しているケースも増えてきた。

このページでは、外国人労働者と良好な関係を築いていくための異文化理解についてまとめている。
これから外国人の採用を控えている人事担当者や、外国人が働く店舗の責任者は参考にしてほしい。

異文化理解とは?

異文化理解とは、「異なる文化で育った者同士がお互いに理解し合うこと」である。

生まれ育った環境や国が違えば、価値観や考え方が異なるのは当然だ。
相互理解がない場合、一方的に自分が正しいと主張すると争いが起きやすい。
まずは相手の文化について知り、価値観が違うことを前提に「相手を認める姿勢」を持つことが必要である。

異文化理解がない場合の問題

「相手を認める姿勢」がないと、以下のように感じてしまう。

 ・丁寧に接しているのに思ったような反応が返ってこない。
 ・指示した通りに仕事が進まない。
 ・指導が無視されているように感じる。
 ・注意されているのに笑っている。
 ・非常識な人ばかりだと思う。

しかし、実際には相手に悪気は無く、むしろ真面目に働こうとしているケースが多い。

異文化理解を深めるカルチャーマップ

異文化理解を深める指標として、「カルチャーマップ」というものがある。

カルチャーマップとは、INSEAD客員教授エリン・メイヤー氏が提唱した異文化理解のためのツールで、以下の8つの領域を縦軸に、それぞれの特徴を横軸に置いた表のことだ。

これにより、お互いの価値観や考え方がどれだけ違うかがわかり、異文化理解に役立てることができる。

(1)コミュニケーション領域:ハイコンテクスト型/ローコンテクスト型

コンテクストとは「文脈」を意味する言葉である。

ハイコンテクストは、直接の言語以外の文脈でコミュニケーションが成立する文化だ。
曖昧な表現やニュアンスを大事にする日本は、典型的なハイコンテクスト型である。
日本のような単一民族国家では、同じ文化で育ってきた人が多いためハイコンテクストが成立しやすい。

ローコンテクストは、直接の言語の文脈でコミュニケーションする文化だ。
言語がそのままの意味を表すため、話す側が適確かつシンプルに伝える方が歓迎される。
アメリカは典型的なローコンテクスト型だ。
アメリカのような多民族国家では、様々な文化が入り混じっているためローコンテクストが成立しやすい。

(2)評価領域:直接的/間接的ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックとは、悪かった点を指摘することで改善意欲を高める方法だ。
ネガティブフィードバックには、直接的と間接的な方法がある。

「直接的」ネガティブフィードバックは、「○○ができていなかった」「目標を達成できていなかった」など単刀直入に指摘する。

「間接的」ネガティブフィードバックは、「やや」「もう少し」など和らげる表現を用いて指摘する。

日本は間接的な表現を用いることが多いが、直接的フィードバックの文化の環境においては曖昧ではっきりしないフィードバックと受け取られる可能性もある。

(3)説得領域:原理優先/応用優先

原理優先は、話すときに「先に理論を示してから意見を述べる」スタイルである。

応用優先は、話すときに「先に意見を述べてから理論を示す」スタイルである。

原理優先は論理的に話していて一見良いように思うが、応用優先の文化で育った人には、「早く結論を言ってほしい」とまどろこしく感じさせてしまう。

(4)リード領域:平等主義/階層主義

平等主義は、組織において上司と部下の関係がフラットである。

階層主義は、組織において上司と部下の関係性が遠い。

相手がどちらの主義を大事にしているかを理解することで、序列を超えたコミュニケーションが可能なのか、常に上司の許可を伺うコミュニケーションが必要なのかを理解することができる。

(5)決断領域:合意思考/トップダウン式

合意思考は、グループ全体または複数による合意の上で決断する。

トップダウン式は、個人が決断する。

相手がこれまでどちらの方法で決断してきたのか、相手の文化を理解した上で、交流できる術を身につけたい。

(6)信頼領域:タスクベース/関係ベース

タスクベースは、ビジネス上の付き合いによって信頼を築き上げる文化である。

関係ベースは、私的な付き合いによりビジネスの信頼を築き上げる文化である。

タスクベースの相手に対しては、あまり私的な世界に踏み込まないようにするなど工夫が必要だ。

(7)見解の相違領域:対立型/対立回避型

対立型は、議論に積極的で、相手と対立することにポジティブな姿勢を持つ。

対立回避型は、議論に消極的で、相手と対立することにネガティブな姿勢を持つ。

日本はもちろん後者だが、世界には限りなく対立型に寄った国や文化もある。

(8)スケジューリング領域:直接的な時間/柔軟な時間

直接的な時間は、時間に正確で、締め切りを重視する文化だ。

柔軟な時間は、時間に縛られず、柔軟に物事に対応することを合理的と捉える文化だ。

柔軟な時間で育った人は、直接的な時間で育った人から見ると、時間にルーズだと思われがちである。

異文化への順応

対極的な特徴を持つ者同士が、すぐに互いを理解し、適応するのは難しい。

異文化に適応する経過には、以下のようなプロセスがある。

1. 新しい価値観から刺激を受ける。
2. 自分との違いを知ってカルチャーショックを受ける。
3. カルチャーショックに慣れて適応が始まる。
4. 文化への深い理解が進み、適応できた状態となる。

初めは大きな期待からスタートするが、カルチャーショックによってその期待値が下がる。
その後、適応が始まると期待値が回復するため、「U」字型に沿って理解が進んでいく。

異文化理解を進める際は、適応するプロセスのどこに自分自身が位置しているのか確認すると良い。

異文化理解の対象は広い

異文化理解の対象は、外国人だけではない。

近年、「自分らしく」生きることへの意識が強まっており、日本でも多様性(ダイバーシティ)が重要視されている。

LGBT・障がい者・高齢者など、様々な文化や価値観を持った人々との共生を実現するためには、お互いに認め合うことが必要だ。

まとめ

外国人は、日本とは全く違う文化の中で生活し、これまでに形成されてきた価値観は、日本人のそれとは驚くほどの違いがある。

その異文化を認め、優秀な人材として活用できるかどうかは、従業員の「異文化理解」にかかっている。

企業の人事担当者や研修担当者は、様々な異文化への社内の抵抗感をなくし、理解を深められるような教育を行ってほしい。

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