目標を作ったが達成しないという話はよくある。
自分だけであれば、自己のコントロールと能力の問題なので、どうとでもなるだろう。
しかし、部下に設定してもらった目標をどうやって達成してもらえばいいかというのは上司であれば誰でも悩む問題だ。
夢は紙に書くと目標を達成できる?
次の有名な話がある。
1979年にハーバードで次の研究が行われた。
教授が学生たちにあるシンプルな質問をした。「ゴールを決めて、それを紙に書いているか?」。
- 84%の学生は、目標を持っていない
- 13%の学生は、目標を持っていたが紙には書いていない
- 3%の学生は目標を持って、それを紙に書いている
と答えた。
10年後の1989年、再度インタビューが行われた。そうすると驚くべき結果が得られた。
目標を持っていて13%の人の平均年収は、目標を持っていなかった人の約2倍だったのだ。
さらに紙に書いていた3%の学生の年収は他の97%の人の年収の10倍になっていた。
という話だ。
また、次の話も有名だが、こちらはデマだ。このような調査は行われていない。内容は示唆に富んでいるのし、上と矛盾もしないのでご紹介しておこう。
1953年にアメリカのYale大学で行われた調査があった。
「今明確な人生設計を持っているか?持っているなら、それはどのような目標か?」というアンケートを取ったところ3%が明確な目標を持っていた。
20年後に調査を続きが行われると、明確な目標を持っていた3%の人たちがアンケート対象者全体の財産の95%を持っていた。
という話だ。
実際知り合いの経営者でも順調に成長をしている人たちは、目標を紙に書いている人は多い。
小学生のときに紙に書いた目標を叶えているという、イチロー選手や本田選手の話も有名だ。
なぜ紙に書くと成功するか?
潜在意識や行動心理学がどうという話もあるが、次のポイントが結局のところ肝だろう。
人間は忘れやすい!
人間は忘却するようにできている。そのときどんなに真剣に目標を作っても、次々に忘れてしまう。
元旦の目標をまだ覚えている方がいるだろうか?
何もせずに覚えている人がいたら、その方はとてつもなく優秀だ。普通は3ヶ月もすれば忘れてしまう。
目標を達成するためには次のポイントが重要になる。
- 毎日目標を意識する
- ぶれない
- そこに向かってアクションを取り続ける
だからこそ、紙に書くことが効果的だ。
物理的に目の前にあれば忘れることはないし、書くことを習慣化すればそこを目指して行動をするのが普通というメンタルになる。
部下にも書かせなくてはいけない
会社内でも同じで目標を決めても、そこに向かって邁進できる人は少ない。はじめの熱がどんどんなくなっていくからだ。
また、そもそも、目標を設定することや、成長を目指すことは恥ずかしいことだと思っている日本人は結構多い。
そのため、普通は「紙に書こう!」という話を聞いてもなんだかんだと紙に書き出すことはない。
だからこそ、強制してでも紙に書き出してもらわなくてはいけない。
意識することが大切なため、PCにタイピングするよりも画用紙か何かに書いてもらったほうがいいだろう。
そういう時間を取ればいい。10分もあれば書ける。そして書いた紙をデスクの見えるところに貼っておくのが効果的だ。また、デスクトップ画像にするのでも構わない。
できるだけ繰り返し
もっと言えば、一回書いただけではダメで、できれば毎日、少なくとも月に一回は再度書いてもらう必要がある。
研修で一回書いただけでは、これも元旦の目標と同じで忘れてしまう。
「うーん、部下にどう思われるか・・・」と感じた方は正常な感覚をお持ちだ。普通は「また、変なことを言い出したよ。自己啓発にでもかぶれたか?」という反応をされるだろう。
しかし、非日常で、抵抗感のあることだからこそ効果がある。なんの抵抗感もないことであれば、効果は薄い。抵抗感があるからこそ、やるべきだ。
その結果として部下が目標を達成して成長してくれるなら、そんなハッピーなことはないだろう。
紙に書く!
コストも時間もかからないし、デメリットもゼロだ。若干あなたが怪しまれるくらいで、コミュニケーションでカバーできる問題だ。だからこそ、やらない理由がない。
自身がやっていなければもちろんやってほしいが、会社全員でやれば必然的にスピード感が違ってくる。
何度もいうが、リスクはゼロだ。ぜひ試していただきたい。