部下のメンタル不調の問題に頭を抱えている管理監督者は多い。
しかし、メンタルヘルスケアの重要性はわかっていても、どうやって実行すればよいのかわからないという声をよく聞く。
このページでは、管理監督者へのメンタルヘルス研修で指導したい内容についてまとめている。
自身のチームから不調者を出したくないマネージャーや、メンタルヘルス研修の実施を考えている研修担当者はぜひ参考にしてほしい。
メンタルヘルスケアの意義を知る
管理監督者へのメンタルヘルス研修でまず初めに指導したいのが、部下へのメンタルヘルスケアの重要性である。
世の中で起きているメンタルヘルスに関する様々な問題と、その対応のためにできた労働者を守る法律について学び、自社でこれまでに起きたケースについて振り返ることで、メンタルヘルスケアが身近で重要なことであることを十分に理解させておきたい。
ストレスや精神疾患について知る
管理監督者へのメンタルヘルス研修では、メンタル不調に繋がるストレスや、その結果としてかかる様々な精神疾患についても指導しておきたい。
ストレス要因には、職場内の人間関係、担当している仕事内容、業務の成績などが挙げられる。
また、職場でよくある精神疾患には、うつ病や適応障害、不安障害、発達障害などがある。
メンタルヘルス研修では、自身のチームにどのようなストレス要因があるか考え、様々な精神疾患などについて理解を深めることが必要だ。
万が一何かあったときでも、管理監督者が慌てずに初期対応できるようにしておきたい。
メンタル不調のサインを知る
管理監督者へのメンタルヘルス研修では、部下のメンタル不調のサインにいち早く気づけるように指導しておきたい。
「いつも元気に目を合わせて挨拶しているのに、今日はぼそっと挨拶をした」
「昼休憩でいつも積極的に輪に入ってくるのに、今日は一人で弁当を食べている」
「今日はいつもよりも笑顔が少なくてため息が多い」
などの代表的なサインを知り、部下の変化を見逃さないために日頃の観察やコミュニケーションが重要であることを、管理監督者自身が自覚する必要がある。
また、いつもと違うサインに気付いたら、そのタイミングで必ず声がけすることも合わせて指導しておかなければならない。
社内・社外の資源について知る
管理監督者へのメンタルヘルス研修では、サインに気付いた後、自分では対処しきれない場合にどこに相談すればよいのかについても指導しておきたい。
相談できる社内・社外の資源としては、産業医や保健士、産業保健総合支援センターなどがある。
産業保健総合支援センターは、職場の健康管理への啓発を目的として各都道府県に設置され、地域における職場のメンタルヘルス対策の中核的機関として、電話相談や訪問支援など、メンタルヘルス不調の予防から復職支援まで無料で総合的に支援している施設だ。
メンタルヘルス研修では、管理監督者が安心して部下のメンタルヘルスケアに取り組めるよう、支援体制についてもきちんと伝えておく必要がある。
休職・復職支援について知る
管理監督者へのメンタルヘルス研修では、休職中の対応や復職に向けた支援の流れについても指導しておきたい。
休職中にいつどのような支援をするのか、復職までにどのようなステップを踏むのか、復職後の社内環境や職場スタッフの立ち振る舞いはどうすれば良いのかなど、実際に起きた時を想定した知識を身につけておく必要がある。
休職者は、いきなり職場に戻って以前と同じように働き始めるのではなく、少しずつ慣らしながら復職に向けたウォーミングアップをしていく。
中には、「リワーク」(return to work / Re-Work)の専門機関や医療機関に通い、オフィスに似た環境で実施されるさまざまな復職支援プログラムを受けて、再発リスクを軽減してから職場復帰するケースもある。
メンタルヘルス研修では、一般的な休職・復職支援の流れを伝え、実際に対応する際のベースとなる基礎知識を身につけさせておきたい。
まとめ
ここまで、管理監督者へのメンタルヘルス研修で指導したい内容についてまとめてきた。
健全な職場で従業員が長く元気に働くために、管理監督者を対象としたメンタルヘルス研修が必要である。
このページを参考に、一人でも多くの管理監督者がメンタルヘルスケアに関心を持ち、不調者や休職者が減ることを願っている。