既に社会人経験のある第二新卒の社員や、中途の若手社員を採用した際、どのような研修を行っているだろうか。
新卒社員のような丁寧な研修は行わず、社会人経験があるという理由で「ビジネスマナー研修」を飛ばし、すぐに営業研修を受けさせたり、現場に立たせて体で覚えさせている会社も珍しくないだろう。
しかし、それで本当に大丈夫なのだろうか。
このページでは、中途採用を控えている人事担当者や研修担当者のために、中途の若手社員にこそビジネスマナー研修を受けさせるべき理由についてまとめる。
Contents
そもそもビジネスマナーとは
ビジネスマナーとは、いわば社会人の「共通言語」のようなものである。
そのため、社会人ならできて当たり前のスキルだと多くの人が認識している。
ビジネスマナーには下記のようなものが挙げられる。
【社会人としての意識】 時間管理、ホウレンソウなど
【身だしなみ】 おしゃれと身だしなみの違いなど
【挨拶】 場に応じたお辞儀の角度、挨拶の使い分けなど
【ことば遣い】 正しい敬語の使い方、「ら」抜き言葉、ファミコン言葉など
【接客】 笑顔、顧客応対、CS(顧客満足)など
【訪問】 他社訪問や個人宅訪問、名刺交換など
【席次】 部屋、車、エレベーターでの立ち位置など
【電話応対】 声のトーンや速さ、クレーム応対など
【ビジネス文書・メール】 見積書や送付状の書き方など
その他、会社内では使わないが、テーブルマナーや冠婚葬祭での立ち居振る舞いも、ビジネスマナーとして扱われることが多い。
求められるビジネスマナーは企業によって異なる
「どこの会社も基本は一緒」、そう思ってはいないだろうか。
実際は、仕事内容により求められるビジネスマナーは大きく異なる。
近年、異業種からの若手転職者が増えているため、前職との求められるビジネスマナーの違いは見逃せないポイントの一つである。
服装のビジネスマナーの違い
最もわかりやすい部分だが、スーツ着用が原則の会社もあれば、専用の制服や作業着で勤務する会社も多い。
最近はオフィスカジュアルが認められている会社も増えている。
「華美なものは避けるように」とあっても、そのボーダーラインは前職の経験があるからこそ、なかなか難しいところだ。
訪問のビジネスマナーの違い
他社訪問や個人宅への訪問を行っている営業職であれば、社外の人とのやりとりに関するビジネスマナーは問題ないだろう。
しかし、同じ営業職でもスーパーマーケットやドラッグストアの店舗スタッフであれば職場が店舗内に限ることが多く、名刺すら持たないこともさほど珍しくはない。
電話・メール・文書のビジネスマナーの違い
オフィス内でデスクに向かうことがほとんどの職種の場合は、電話やメールは日常業務として対応しており、ビジネスマナーも問題ないだろう。
しかし社外とのやりとりが少ない職種の場合、ビジネス文書やビジネスメールなど、ほぼ未経験の可能性も大いに有り得る。
現場でよくあるビジネスマナー不足
「社会人経験があるからビジネスマナーは問題なし」と思われて入社し、すぐに現場配属された若手社員が、初めて法人営業に出向いたとしよう。
異業種から転職してきた彼は、接客経験は豊富ではあるものの、通された部屋での座る位置や挨拶、名刺交換でつまずいてしまうかもしれない。
即戦力だと期待して受け入れたものの、求められるビジネスマナーの基本が全く身についていないとなると、現場の育成担当者も戸惑いを隠せないだろう。
それと同時に、前職での当たり前が通用しないことを知った若手社員も同じように戸惑っているはずだ。
ビジネスマナーチェックリストを作成する
入社後のミスマッチを防ぐために、ビジネスマナーチェックリストを作成して、採用面接の際に細かく確認しておくことも効果的だ。
できる部分と指導すべき部分が明確になれば、より絞った内容に研修をカスタマイズして効率的に育成することができる。
また、ビジネスマナーチェックリストがあれば、現場での指導も容易になるだろう。
ビジネスマナー研修で全員が安心感を持つ
中途の若手社員を採用した際、ビジネスマナーは大丈夫だろうという思い込みは持たずに研修を組み立てることが必要だ。
特に20代の中途社員には、新卒社員と同じレベルのビジネスマナー研修を受けさせることをお勧めする。
現職で求められるビジネスマナーを研修でしっかりと押さえ、中途入社の社員も、現場の育成担当者も、採用した人事担当者も、全員が安心して働ける状態にすることが大切である。
まとめ
20代の若手社員を採用する際には、多くの人事担当者が「即戦力」あるいは「短期間で即戦力になりそう」だと判断して採用しているだろう。
しかし、その能力はあったとしても、ビジネスマナーも同時に備えているとは限らない。
ビジネスマナーができていないことで与えてしまうマイナスイメージは決して小さくない。
個人の問題ではなく、ひいてはそれが会社全体のイメージダウンへと繋がる可能性も否めない。
会社としてはそのような事態は避けたいところだ。
このページを参考にして中途の若手社員にもビジネスマナー研修をしっかりと実施し、一人でも多くの人が新しいステージで活躍することを願っている。