集合研修? eラーニング? もっとも有用な人材育成の手法は?

人材育成の手法
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

人材育成にとってもっとも有用な手法はなにか?

集合研修、OJT、eラーニングモバイルラーニング、LMSやらタブレット学習など方法論は挙げ始めるとキリがない。

いったいどれが効果的なのか、悩んだことがある方も多いはずだ。

いくらでもある人材育成の手法

人材育成では、年々新しい手法が出てきている。最近だと、「協働学習」や「インフォーマル学習」という学習方法が流行りだ。

人材育成に限らず、教育の分野ではこういった手法の流行はよくある。教育というのは誰でも体験しているので発案しやすい分野だし、実行するハードルも低めだ。

だから新しい手法が続々で出てくるが、なかなか長い期間では定着しない。

定期的に来るeラーニングのブーム

2000年頃に流行ったeラーニングは一度廃れた。また、2000年代の後半にもブームが一度来たが、これまた不発。2014年にも波がきた。ここではEdTechという言葉が使われたが、これも不発に終わった。

eラーニングやオンライン学習というと新しく聞こえるが、現在のeラーニングのほとんどはテレビの通信大学と本質的には変わらない。動画で勉強するというところは一緒だ。

AIが進化して双方向性が出てくるとまた違うのだろうが、現状はなかなかそうはいかない。

モバイルで見れるというのはひとつの進化だが、学習というものそのものが隙間時間と相性が悪い。移動時間の5分で勉強しよう!という意思はなかなか沸かないのではないだろうか?

私も何度もチャレンジしてみたが、結局ニュースなりを見る時間になってしまう。

強制感がない

eラーニングやテレビ・DVD学習の課題は強制感だ。

モチベーションが高く、率先力のある社員の育成にはeラーニングは有用だ。コンテンツが一緒で、大体の場合安価で済む。費用対効果は高いだろう。

しかし、普通の会社は、そんな社員ばかりではない。動画だけだと眠くなるし、だんだんだんだん飽きてくる。また、小中高代と対面式の学習をしてきたため、慣れていないというのも大きい。

実際、リスキルテクノロジーでもプログラミングのeラーニングを作って事前学習を促したが、7割以上の人は前半のほんの少ししかやってきてくれなかった。

「強く推奨」くらいの弱いスタンス?だったのがダメだった要因のひとつだが、まぁこんなものだと考えるべきだろう。難しいことをeラーニングだけで学習して成果を出せるのは、優秀な極一部の社員だけだ。

集合のゲーム形式がいい?

より楽しく学習ができるゲーム形式がいいという話が広がった時期もある。とにかく効果的だという呼び声があり、ものすごく取り入れられたが、そのブームも2年ほどで過ぎ去った。

確かにその場では楽しいのだが、結果的に「楽しかった」という記憶しか残らないのだろう。楽しさと定着は相関関係がなくはないのだろうが、正比例ではないらしい。

ただ、ゲーミフィケーション的な手法、短期ゴールも長期ゴールもあって、それをひとつずつわかりやすくクリアしていくような手法は効果的だと言われている。作成するのは大変だが、効果は多少見込めるだろう。

ただ、これも飽きるし、絶対性はない。

集合研修がやはりいい?

集合研修は効果的だが、これも大人数になりすぎると効果を失っていく。しかし、少人数でやると一人頭の費用は上がっていくだろう。

また、場所の制限も大きいため、集合研修が常に最良とは限らない。

どの手法がいい、というのはない!

結論的には、どの手法がベストだというのはないのが現状だ。実際、色々な研究調査の結果を見てもどの手法がいいのかは明確になっていない。多分、今後も明確になることはないだろう。

だからこそ、考え方を変えるべきだ。

「どの学習方法がベストか?」よりも、「どうすれば、研修のゴールに行き着くか」の方がよっぽど大事じゃないだろうか? 

流行に合わせるのではなく、自社の方向性にあった研修をセレクトするのがいいだろう。

方向性を決める上で、次のことは考慮すべきだ。

物理的な距離感

内定者に教育をしてあげたい。ただし、全国から採用しているから集まってもらうのは不可能だ。となれば自動的にeラーニングを選ぶ必要がある。

eラーニングを選んだ上で、「じゃあどうやったら強制感が出るのか?」を考えるべきだ。

資格をとりあえずのゴールにするなどはいいだろう。これまで学生だった内定者であれば、テストのために勉強するというのは習慣になっている。MOSでもITパスポートでも、簡単ではあるが、試験料がかかるものを選択すると、しっかり勉強してくるはずだ。

制限時間

とにかくすぐに学んで欲しい内容に関しては、オンライン学習などの自学自習型の企業内学習は全力で避けよう。集合型で、強制的に学んでもらう必要がある。

例えば個人情報流出が問題になったときに、eラーニングで勉強しておいてください、というのはあまりに悠長だ。全員が全員問題意識を持っていると思わないほうがいい。なんだかんだ、勉強してくれない人も続出するのは間違いない。

弊社でも、営業にプログラミングの基礎を勉強してもらおうとeラーニングを提供したことがある。切迫した理由だったのだが、結局勉強してくれなかった。

反面、集合研修に参加してもらうと普通に勉強することから、やはり強制感だなぁ、と感じている。

期間を決めて、なるべく早く習得をしてほしいと考えているのであれば、集合研修や個別研修など強制力がある研修にするべきだろう。

どういう雰囲気で学習をしてもらいたいか?

社内のコミュニケーションを活発にするためのひとつの手段として研修をするときもある。

そういったときは、ディスカッションやゲーム性を意識した研修をすればいい。インバウンド研修などは競争心理もあるので盛り上がる。

ゲーム形式にしたからといって学習効率が上がるわけではないが、下がるわけでもない。必要であれば、導入するのは良いことだ。

とにかく目的に向かう!

ひとつのゴールに向かっているのであれば手段は組み合わせてもいい。

リスキルテクノロジーの研修でいうと、初歩の部分だけeラーニングで提供して、本番のプログラミング研修に望んだことがあった。勉強してこないとまずついてこれないという十分な脅しと、対象が新入社員だったため、強制力がうまく働き、研修は順調に進んだ。

反対にうちの新入社員には、集合研修を受けてもらってから、資格のために自主勉強をしてもらった。こちらもこちらでうまくいく。

どのツールでやるかにこだわるよりも、その場その場で最良だと思われる選択をすればいい。

対象や内容などによって成果は異なってくるので、各学習を一番費用対効果が高い部分に導入すれば良いだろう。

手法やツールにこだわりすぎていないだろうか? 見直してみていただければと思う。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

このページの続きや関連ページは下記から一覧で確認できます。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*