フォロワーシップという言葉を聞いたことはあるだろうか。
フォロワーシップとは、組織のリーダーを支援する役割や能力のことだ。
このページでは、組織に不可欠なフォロワーを育成するために、フォロワーの役割とフォロワーシップを高める具体的な実践方法についてまとめる。
人事担当者や研修担当者、プレイングマネージャーはぜひ参考にしてほしい。
フォロワーの役割
フォロワーは、いわゆる「部下」ではない。
フォロワーは、上司の指示に従って動く「部下」ではなく、リーダーと共に考え、目的を達成するためにリーダーを支援するメンバーだ。
リーダーとフォロワーは対等の立場であり、時にはリーダーに意見することも求められる。
そのため、フォロワーには自ら考える力と行動に移すための勇気が必要とされる。
近年、その意識の欠けた「指示待ちフォロワー」が多くなったことにより、問題を抱える組織が増えている。
フォロワーの考え方
フォロワーに求められるのは、「自責」の考え方である。
周りに責任を押し付けるのではなく、全ての責任は自分にある、と考えることが、フォロワーには必要だ。
以下に、自責の考え方ができるようになるための方法を紹介する。
1.自己分析(セルフ・アセスメント)
自身の考えやこれまでの行動を分析する。
それにより、改善点を把握することができる。
2.フィードバック
自分に足りないこと、できていることを客観的に理解する。
リーダーから見た自分を知ることで、更なる改善点を見つけることができる。
3.共通目的に向けた行動計画
リーダーとともに、目的達成に向けた計画を立てる。
共に考えて計画を立てることで、自らの考えや行動に責任を持ち、リーダーと協力的な関係を築くことができる。
4.柔軟な発想
常に自分が正しいということはない。
自身のプライドや思い込みを極力排除し、柔軟な発想ができるように意識する。
フォロワーのタイプ
フォロワーは、大きく5つのタイプに分けることができる。
1.模範型(支援高く、批判高い)
理想的なフォロワー。
自ら提言し、行動に移すことができる。
2.順応型(支援高く、批判低い)
提言はしないが、与えられた職務を全うする。
リーダーの方針や行動に対して異議申し立てることはない。
3.孤立型(支援低く、批判高い)
提言するが、自ら行動には移さない。
孤立型には共通目的を持たせ、自責の考えを身につけさせる必要がある。
4.消極型(支援低く、批判低い)
提言もなく、行動に移すこともない。
消極型は孤立型と同様に責任を感じさせる必要がある。
5.実務型(いずれも中立的)
これまでの4つのタイプの中で中立な型。
フォロワーのタイプ別の傾向
模範型・順応型は、行動に移すことができているため、リーダーに対しての支援度は高い傾向がある。
孤立型・消極型は、行動に移さないため、組織にとって影響力は少ない傾向がある。
実務型・順応型・消極型は、提言することは少ないため、問題に対しての対応が遅れてしまう傾向がある。
これは多くの組織にとって課題とされている。
フォロワーシップを実践するためのポイント
フォロワーシップを実践していくための大事なポイントは以下の5つだ。
1.リーダーのサポートとコミュニケーション
リーダーが多くの仕事を抱えている場合、フォロワーはリーダーの負担を最小限に抑え、リーダーをより良い方向に導かなければならない。
また、目的の明確化や行動計画を構築していくために、リーダーとの密なコミュニケーションが求められる。
2.危機管理
リーダーは、危機に直面したときに、職務を果たせるように周囲を落ち着かせなければならない。
フォロワーは、リーダーの負担を軽減するために、自身も責任を持ち、危機を切り抜けるために考えて行動することが求められる。
3.集団思考の打開
フォロワーは、自身の考えを信じ、提言する勇気と行動力を持たなければならない。
後になって大きな問題にならないよう、集団思考による方針の誤りがあれば打開することが求められる。
4.迅速な提言・批判
フォロワーは、問題が大きくなる前に迅速に提言・批判をしなければならない。
目的の達成に致命的な影響を与えるような問題に対しては、特に早い対応が求められる。
5.フォロワーの自省
フォロワーは、何か不満を感じたとしても、まずは自身のことを客観的に見て、反省する意識を持たなければならない。
誰かに相談する場合は、親しい同僚は避け、公平な視点から意見してくれる人を選ぶ必要がある。
フォロワーシップの効果
フォロワーシップの効果には、組織効果と個人効果がある。
組織効果
・共通目的を持ち、達成に向けて行動することができる。
・リーダーとの関係性を深めることで、組織の方針から起こりうる問題を事前防止できる。
・他フォロワーとの協調から、組織として生産性を向上することができる。
・積極的に提言することの習慣付けができる。
個人効果
・指示待ちの姿勢から、自ら行動する姿勢に変わることができる。
・上司との関係が良くなり、業務効率の向上を図ることができる。
・業務において、孤立的ではなく周囲と協調して取り組むことができる。
・リーダーを理解することで、リーダー視点で物事を考えられるようになる。
まとめ
現代の組織構造において、フォロワーの影響力は絶大だ。
フォロワーが責任感と自省の意識を持ち、リーダーと密なコミュニケーションを図りながら、積極的にフォロワーシップを発揮することで、組織は円滑に機能し、目的が達成される。
これからも企業が発展していくために、一人でも多くのフォロワーが生まれることを願っている。