「成果を上げたければ、成果報酬型でインセンティブを出せばいい」
これはビジネスの世界で広く知られている常識だ。
しかし、インセンティブによるモチベーションアップは、仕事の種類によっては働かないどころか悪影響が出るのをご存知だろうか?
インセンティブが出るから頑張る
お金はもちろん大切だ。
人間は給与がないと生きていけないし、そもそも大抵の人は給料をもらうために会社に来ている。そのために、大変なことも乗り超えられるという側面がある。
ボランティアでも乗り越えられる部分もあるが、現在は営利企業の規模の方がNPOなどに比べて圧倒的に大きいことからも、人間がどちらを優先するかはわかるだろう。
だから、インセンティブで悪影響がでる可能性があると言っても、それは、お金が悪いわけではない。
インセンティブを払ったからといって、必ずしも効果的な効果が出るとは限らない、という意味だ。むしろモチベーションが上がりすぎることが問題だと言っていい。
モチベーションが上がりすぎる
人間はインセンティブが働くと、視野狭窄になる。これは色々な研究機関の実験が証明していることだ。
例えば、Dan Ariely著の次の論文がある。
Large Stakes and Big Mistakes
https://www.bostonfed.org/economic/wp/wp2005/wp0511.pdf
With some important exceptions, we observed that high reward levels can have detrimental effects on performance.
報酬のレベルがパフォーマンスに有害な影響を与える事象が確認された。
どういった場合だと、報酬による有害な影響が見て取れたか? 結論的には「機械的な作業だけが、報酬に比例して成果を上げられた」となっている。
少しでも複雑な問題が与えられたとき、インセンティブがあると、それを達成するときに視野が狭くなって、なかなか正解にいきつかない。
これはなかなかに驚くべき結果じゃないだろうか?
どういう問題であればインセンティブが効果的に働くか?
ではどういったときインセンティブが効果的に働くか? 上でもお伝えしたが、単純作業を実施するときはインセンティブは非常によく働く。
単純作業にに頭をフォーカスして良いのであれば、まったく問題ないわけだ。
だからこそ、飛び込み営業やテレアポ、システムのテスターや経理の処理などはインセンティブを使うことで非常に効果的に仕事が進むことになる。
しかし、少しでもクリエイティブな仕事になるとそうではない。インセンティブが反対に邪魔になるわけだ。
今、日本にある仕事は?
インセンティブが働く仕事もあるが、そうでない仕事の方が徐々に徐々に多くなってきているだろう。
がむしゃらに同じことを繰り返しても、成果が出ないビジネスの情勢になってきている。変化に対して対応して、新しい案を出し、とにかくそれを実行して、結果を元に修正してさらに実行する必要があるのが、今のビジネスだ。
ただただ、インセンティブをつければいいというわけではないということだ。
まとめ
これらを踏まえると、インセンティブが効果を発揮する場所と発揮しない場所を掴んで、的確にインセンティブを使っていくことが大切だろう。
クリエイティブな仕事をしてもらいたければ、インセンティブより内的な動機付けの方が大切だ。
あなたは会社ではインセンティブは適切に使われているだろうか? 確認してみてはいかがだろうか?