入社して数ヶ月経っても学生気分が抜けていない、一向に仕事を覚える気配がないなど、新人の育成に苦労している企業は多い。
その原因として、メンターである先輩社員のメンタリングスキルが低いことが挙げられる。
このページでは、メンター研修でメンタリングを上達させる4つのポイントについてまとめている。
これからメンター研修の実施を考えている研修担当者や人事担当者はぜひ参考にしてほしい。
Contents
メンター制度の現状
HR総研が実施したアンケート調査によると、メンター制度を導入している企業は、大企業だと7割近く、中小企業だと5割弱ということだ。
しかし、メンター制度を導入しても、うまく運用ができていないケースが多く見受けられる。
その理由は、業務に追われて指導に時間が割けないだけでなく、どう指導すればいいのかわからないといった、メンターへの教育不足によるものもある。
メンター研修でメンタリングを上達させる4つのポイント
メンターを育成するためのメンター研修は、以下のようなポイントを押さえて実施すると良い。
(1)メンター制度の意義
メンター研修では、まず、メンター制度を取り入れている目的や意義について理解させたい。
メンター制度を導入している企業は、メンティがメンターと同じように会社の目指す方向に向かって業務に主体的に取り組むように、メンター自身が育てることを目指している。
そのためメンターは、会社の経営理念や目標、行動規範、仕事の進め方、キャリアパスなどについてきちんと理解しておかなければならない。
メンター研修では、この導入部分を経営トップや幹部から話してもらうとより効果的である。
(2)メンタリングの効果
メンター研修では、メンタリングのもたらす効果やメリットについて理解を深めさせたい。
メンタリングと他の指導方法とは何が違うのか、「メンター」と「上司」の役割の違いは何かなど、基本的な知識から体系的に学ばせることが必要である。
また、メンタリングは、メンター自身の成長を促進させる効果があることも理解させておきたい。
メンティに教えるためにメンター自身がよく学ぶようになり、指導していく中でメンターの知識や技術が定着していく。
さらに、後輩や同僚、先輩社員とのネットワークが広がることで、人や会社との関わりが今まで以上に密接になり、仕事により前向きに取り組むことができるようになる。
(3)メンタリングの運用方針
メンター研修では、メンタリングを進めるためのルールについてもきちんと学ばせたい。
どのような手順で指導するのか、何に注意してメンタリングしていくのかなど、実際のメンター業務をイメージさせながら指導すると良い。
また、メンタリングがうまくいかなかったときの対処方法についても教えておきたい。
状況によっては、メンター自身で対応するのではなく、第三者に間に入ってもらいながら問題解決に取り組むケースがあることも周知し、いざという時の連携について理解を深めさせる。
会社の支援体制が整っていることを知っておくことで、メンターは安心して指導を進めることができるだろう。
(4)メンタリングの実践スキル
メンタリングでは、メンターとメンティとの間で十分なコミュニケーションを図らなければならない。
そのため、メンターは「メンティに十分に話してもらえる雰囲気を作る」、「話は最後まで聞く」、「自分の考えを先に言わない」というような心がけが必要である。
また、メンティの間違いを頭ごなしに否定するのではなく、メンティ自身で間違いに気付かせられるように指導するのが望ましい。
メンター研修では、メンティの話を聞く「傾聴スキル」、メンティの表情から感情を読み取る「非言語表現スキル」、メンティの真意を引き出す「質問スキル」について、ロールプレイを行いながら身につけさせたい。
まとめ
ここまで、メンター研修でメンタリングを上達させる4つのポイントについてまとめきた。
メンター研修は、メンターだけでなく、その後輩のメンティの成長にも直結する極めて重要な研修である。
研修は組織横断的に取り組み、社内のより多くの人にメンター研修を受けさせてほしい。