組織的な人材育成は必要か?

組織的な人材育成
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「仕事をさせておけば人は育つ」

これは間違っていないようにも思える。例えば、他企業で働いたことがほとんどない大手企業の創業者は多数いる。

「人材なんてのは現場でしごけば、自動的に育っていくもんだよ」というベテラン社員も多い。

だからこそ、「人材育成をわざわざ組織でやる必要があるのか?」という疑問はごもっともだ。現場に任せればいいのではないだろうか?

時代は変わってしまった

1980〜90年代の日本と今の日本は大きく異なっている。

ひとつは、よく言われて耳ダコだが、経済の成長が止まったことだ。これにより新しい機会が社員になかなか回らなくなった。

成長していれば次々にポジションができる。新しい仕事も降ってくる。新人も後から後から入ってくるから1年間雑務をこなせば、2年目には解放される。

また、これは精神面が大きいが、成長中のため成功者が多い。成功体験は自信を生み、自信は成果を生むという好循環があった。

その結果として人材は成長していたし、現場内で教育を完結していてもある程度は問題なかった。

しかし、ご存知の通り、今では日本の成長は止まっている。成功体験を持っている社員自体がとてもとても少なくなっている現状だ。

その結果として、「人材が育ちにくい社会になった」と言われてしまっている。

他にもわかりやすい様々な原因がある。

その1. スリム化

人材を抱えきれなくなった企業が実施したことがスリム化だ。

スリム化というと優しく聞こえるが、具体的には「人件費抑制による人員の調整」だ。

結果として、人員あまりがいなくなったことから、教育に手をつけようと思う従業員自体が少なくなった。

そのため、OJTとは名ばかりで、実際に業務をやらせるが、基礎的な内容でトレーニングがいらないルーチン的な仕事ばかりを振るようになってしまった。人員に余裕がないから教育をしている余裕がないのだ。

また優秀な人材はその環境でも育つが、そうではない人材は落ちこぼれるようになってしまった。

人員がある程度余っている時代であれば、落ちこぼれを救うセーフティネット的な役割をだれかが担っていた。

しかし、今はそういう人材がいなくなった。まさにそういう人材がスリム化でいなくなってしまったからだ。具体的な仕事量が少ない層である。

その2. 成果主義

続いて成果主義も影響している。

成果主義導入によって従業員が短期的な利益を追うようになった。ただ、これは決して悪いことではない。

長期的利益ばかり追いかけても会社は潰れるし、その場その場を全力で走るというのは会社にとって必要なことだ。

しかし、部署内の人材育成などには目が向かなくなったのはそれはそれとして事実だ。

短期的利益を追い求めるのであれば、当然人材を育成している暇はない。また、人材育成は成果が目に見えにくく、そこに時間を投下しても、評価がなかなか上がらないという実情もある。

「人材育成」という評価項目があっても、「出した成果」という項目よりも評価比重が高いということはまずないだろう。

そのため教育に時間をかける人が減るのは当然だ。

その3. フラット化

フラット化の波も日本には来ている。階層を減らすことが推奨されたわけだ。

これにより、組織のコミュニケーションなどは増える形になった。また、人材の移動がやりやすくなり、企業組織が活発化したという話も多い。

しかし人材育成という面では難もありだ。

管理職とその他大勢になるので、管理職一人で面倒を見るという形に表向き見えてしまうわけだ。

実際はさすがにそうならないが、意識して管理職がコントロールしないと必然的にそうなってしまう。

とにかく早く結果を出さないとという風潮があり、意識的にも無意識的にも人材育成を避けてしまうからだ。

 

これらたくさんの理由から現場で人材を育成するのって、結構厳しくないか?という状態になっている。

組織での人材育成

だからこそ組織での人材育成が必要になっている。

ルーチンワークだけの環境だと成長が感じられない。また、ぶっつけ本番の環境だけだと成功確率が低い。

とにかく成長戦略と、成長ができ成功体験が繰り返せるだけのスモールステップのタスクが必要だ。

これらを用意するのに現場は忙しすぎる。組織として様式を整えて、現場と調整を図り、確認と実行に協力してもらうというスタンスを取るべきだ。

もちろん現場というか経験でしか学べないことも多い。しかし、それは現場にすべて任せてしまえばいいという話ではない。

「協力しつつ、特に初歩の初歩部分は組織で育成しよう」というのが正しいスタンスだろう。

まとめ

組織的な人材育成はやらないといけない状況になっている。

人事部が1ヶ月だけ新人を面倒見て、、、という状況よりも踏み込んだ人材育成が必要になっている現状だ。

もし、人材育成がうまくいっていないと感じるのであれば、一度組織での育成戦略を立てる方向に考えてみてはいかがだろうか?

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