社員から「ルーチンワークばかりで成長できません」という相談というかクレームが来たとしよう。
確かに彼がやっている仕事にはルーチンワークもある。しかし、意味がない仕事ではなく誰かがしっかりと取り組まないといけない仕事だ。
あなたならどう答えるだろうか?
ここがロドスだ、ここで跳べ!
「ここがロドスだ、ここで跳べ!」という言葉は、イソップ寓話の『ほら吹き男』から来た言葉だ。
あるアスリートがロドス島で大きな跳躍に成功したらしい。「ロドスで信じられないような大跳躍に成功したんだ。ロドス島に行ったら誰もが証言してくれるだろうよ」と皆に触れまわっていた。
それを聞いていたある男が、「行く必要ないだろ。ここがロドスだ、跳んでみろ」と返したという寓話だ。
ここからどんな教訓を読み取るかは色々だが、上記の社員からのクレームに対する教訓も読み取れる。
ルーチンワークばかり?
一般的に言われている成長につながる経験というのはストレッチ経験と呼ばれるものだ。
自分の能力以上のことをやって、自身をストレッチし、成長させていく。これは確かに成長するための正攻法だ。
しかし、社員が皆ストレッチ的な業務をしていたらどうだろうか? きっとほとんど何もまともに出来上がらず、会社が崩壊してしまうだろう。
現実的にルーチンワークはあるし、いくら外注化・効率化を進めてもできないところは出てくる。そのために社員がいるという現実もある。
ルーチンが多いのは会社のせい?
しかし、一方で北海道大学の松尾教授がこんな調査結果が出している。
目の前の仕事に集中して質の高い仕事をすることにより、他者から信頼され、その結果としてチャレンジングな仕事が与えられるというパターンが多く見られた。
ルーチンワークばかりだと言っている人ほど、その仕事の品質が低いため、次の仕事が与えらない傾向にあったという。
これは当たり前だろう。
基本的に新しい仕事が与えられるというのは外部要因が大きい。その外部要因が発生したときに、誰に頼むかといえば、既存の仕事をしっかりとこなし、その仕事を一段階上に上げた者だけだ。
例えば、弊社でもこんな社員がいた。
彼は結構手間なExcelの仕事を担当しており、そこに時間を取られていた。ルーチンワークの時間がどうしても長くなってしまっていたが、彼はゼロからマクロを勉強してその作業を5分で完了できるようにしてしまった。
そして、作業が終わった後の分析に時間を使うようになった。また、空いた時間を利用して、ストレッチ仕事に取り組み、成長することもできている。
ここがロドスだ、ここで跳べ!
『どこか別の場所で成果を出せる空想をするのではなく、今いるその場で成果を出すことで未来は開ける。自分の仕事は自分で作ることだ。』
と社員に語ろう。
もちろん適性はあるし、社風との関係性もあるだろう。
そのため、全力で仕事を作った結果、認められなかったら転職したほうがいいと言ってあげるのも会社としては正しい。きっとそういった人材であれば活躍できる場所が見つかるはずだ。
「ここがロドスだ、ここで跳べ!」
きっと評価されるのはここで跳べる人間だ。そういう社員に育てよう。