販売員向け研修と聞いて何を思い浮かべるだろうか?
営業力の強化、営業ツールの整備、クロージングトレーニングなどのような研修を思い浮かべるかもしれない。
もちろんどれも必要だが、その前にやるべき研修はないだろうか。
このページでは、販売員向け研修をする上での重要なポイントについてまとめている。
これから販売員向けの研修を行う研修担当者や、新人販売員を迎える人事担当者は、ぜひ参考にしてほしい。
Contents
販売と営業の違い
販売と営業の決定的な違いは、販売が「待つ行為」であるのに対し、営業は「攻める行為」ということだ。
営業は「攻める行為」、つまり、売りたい相手に売りたいものを売りに行く。
半面、販売は「待つ行為」、つまり、相手について何も知らない状態から突然接客がスタートする。
その分、販売員にはより高い接客スキルが必要とされるのである。
売れる販売員が持つ「流れ」
売れる販売員は、決まって綺麗な接客販売の「流れ」を持っている。
「流れ」とは、お客様が来店し、接客を通して商品を選び、最終的に購入するという一連の行動のことだ。
この流れは、「声かけ」「ヒアリング」「提案」「検討」「クロージング」の5段階から構成されている。
販売員向け研修では、この基本的な流れを理解し、それぞれの段階でのポイントを押さえ、実践できるようになることが目標となる。
販売員には「想像力」が必要
販売員に求められる能力のうち、5段階の流れの全てで必要とされるのが「想像力」だ。
販売員には、当然、商品知識や接客能力も必要とされるが、その知識や能力を生かすも殺すも、想像力を働かせることができるかどうかが鍵を握っている。
なぜ販売員に想像力が求められるのか
なぜ、販売員に想像力が必要なのだろうか。
お客様は、商品が支払う代金に見合うだけの価値があるかどうか、商品を手にした後の自分を想像して、購入するかどうかを判断している。
販売員は、そのお客様の描いている将来のイメージを同じようにイメージし、お客様に寄り添いながら購入へと導かなければならない。
そのため、販売員は小手先のテクニックではなく、お客様とイメージを共有することができる「想像力」を身につける必要がある。
想像力をいかした「ヒアリング」
お客様は、自分が思っていることを販売員が言ってくれると、「わかってくれている」と感じて嬉しくなるものだ。
販売員「○○ですよね?」
お客様「そうです!」
これを「共感」と呼び、「ヒアリング」の段階でこの共感を積み重ねることにより、販売員とお客様の信頼関係が築かれていく。
お客様のイメージを広げる「提案」
お客様は、購入後の素敵な未来をイメージできれば、その商品に投資価値があると考え、最終的に無理に勧めなくても、自ら進んで購入してくれるようになる。
販売員は、お客様のイメージする未来をより明るく、そしてクリアなものにできるように「提案」していくことが必要だ。
お客様の脳裏に、感情を動かすようなイメージを浮かばせることができれば、その販売は成功する。
販売員のためのイメージ販売手法
お客様のイメージを膨らませる手法には、以下のようなものがある。
例えのイメージを使う
お客様にとって、未知の商品をイメージすることは難しい。
そのため、「○○みたいなものです」と誰もが知っているような身近なものに例えて提案すると、その商品や商品を使っている自分をイメージし易くなり、購入に繋がりやすくなる
後悔のイメージを使う
購入した後の楽しい未来をイメージさせるだけでなく、「購入しなかった場合の悔しい未来」をイメージさせることも有効だ。
特に限定商品の場合は、購入するタイミングを逃してしまった際に、後でどれだけ後悔するか、お客様にイメージさせると効果的である。
同類項のイメージを使う
「ヒアリング」でお客様の好みを把握することができたら、同類項の「提案」をすると購入につながりやすい。
販売員「その服がとてもお似合いなので、きっとこちらも似合うと思いますよ!」
慣れてきたら、さらにイメージが広がる「提案」も加えてみよう。
販売員「○○に行ったことあるのですか!それなら、××は同じようなロケーションでお勧めです。更に半額の旅費で済みますよ!」
このように、同類項にさらにプラスのメリットを上乗せして提案すると、より購入に繋がりやすくなる。
まとめ
販売員に必要なのは、「声かけ」「ヒアリング」「提案」「検討」「クロージング」の5段階の流れの理解と、販売を成功に導くための「想像力」だ。
販売員向け研修では、いきなり「クロージング」トレーニングに入るのではなく、まずはその前の「ヒアリング」や「提案」から体系的に学べるようなカリキュラムにしてほしい。
自身の想像力を高め、お客様のイメージを膨らませられるような販売員を育成しよう。