Technological Innovationと企業内学習ができること

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
technological innovation

昨日、スイスのビジネススクールIMD教授のHoward Yuの話を聞きにいった。IMDは企業内学習でも有名なビジネススクールだ。

テーマはテクノロジーのイノベーションだったが、企業内学習で役に立つ話があったのでここでもシェアしよう。

イノベーションによる劇的な変化

コダックという会社はご存知だと思う。世界一の写真フィルムメーカーだ。日本だと富士フィルムが競っていたが、圧倒的なシェアNo.1はコダックだった。

「だった」というのは潰れたからだ。

原因はデジカメ、そしてモバイル。フィルムで写真を取るという文化は完全になくなってしまった。

コダックの経営陣がデジタルカメラを知らなかったか?というとまったくそんなことはない。実際1990年代前半にはデジタルカメラを注視していた。

しかし、次のグラフを見ていただきたい。カラーフィルムの世界需要推移だ。

カラーフィルムの需要推移

出典:http://www.electronicjournal.co.jp/article/PDF/20120601.pdf

2000年以降を手で隠して、どう思うか? 経営判断をしてみていただきたい。

2000年の段階では、フィルムの需要は軟調ながらまだ伸びる余地があるように見えるはずだ。

コダックの経営陣は、「まぁデジカメも結構伸びていくと思うけど、フィルムもまだまだ伸びるよね。デジカメの開発も少しずつ始めるけど、切迫はしていないよね」という考えだったはずだ。

しかし、グラフを見てのとおり、2000年以降は急激に落下する。需要の落下とともに、コダックの売上も落下。どうしようもなくなってしまう。

これがイノベーションによる劇的な変化だ。

ひとつのアイディアで世界が変わる時代

このなんとも言えない誇大な表現が、大げさな表現ではなくなってきてしまっている

  • Uber
  • Xiaomi
  • Airbnb
  • Whatsapp
  • LINE

などワンアイディアが市場を席巻して、既存のプレイヤーの地位を根こそぎ取ってしまっている時代になった。これらの企業はわずか数年で、大企業を脅かす存在になっている。

モバイルの普及によるインターネット環境の拡大とネットワークの向上により、イノベーションによる劇的な変化がより起こりやすい環境になっているということだ。

AIはデジカメ

今後、これらの変化は確実にAIに波及していく。

現在は登場初期のデジカメのように、「まぁ全体には使われないよね」という感じで捉えられている。

「たしかに面白いとは思うけど、うちはGoogleでもないし、Facebookでもない。特に考える必要もないだろう」

というのは普通の経営者の考え方だろう。

しかし、AIについて知れば知るほど、その考えはまずいというのがわかる。

例えばIBMのワトソンが、アメリカなどのクイズ番組に出場して、優勝を勝ち取ったりもしている動画を見れば、一気にAIのビジネスへの影響が現実味を帯びてくるはずだ。

小回りの聞く中小企業であればともかく、大企業であればあるほど方向転換が難しくなってくる。なるべく早くから変化を掴まないと致命傷になってしまう。

AIに限らずVRやIoTなど、デジカメ同様企業の未来を決めてしまうイノベーションの波はもうすでに目の前にある可能性が高い。

企業内学習でできること

セミナーの参加者の男性が次のような質問を投げていた。

「テクノロジカルイノベーションが目の前に来ており、どう捉えるべきかはよくわかった。しかし、うちのマネジメント層が話を聞くとはどうしても思えない。ベリーベリートラディショナルな会社だから。どうしたらいいか?」という質問だ。

この質問への回答こそが企業内学習のすべきことだろう。

企業内学習ができることは、下の層への人材育成だけではない。経営層への知識供給もやるべき仕事だ。

こういう危機感は意外と現場の方で持っているものだ。しかし、知識やノウハウは上から下へと降りていくもので、下から上への知識供給はなかなか実現していない。

最新技術の脅威を伝えられる人を呼び、将来のためにマネジメント層に知識を持ってもらうのも企業内学習のやるべきことだ。

どうしても高齢になってくると新しい知識を入れようという意欲が薄れていく。

そうでない経営陣ももちろん多いが、一般的な人間の傾向としてそうなっていくのは当たり前だ。

だからこそここに企業内学習の果たすべき役割がある。

マネジメント層への知識供給

実際にマネジメント層への研修を提供するのはなかなか困難かもしれない。

しかし、全社向けに研修を開いて、そこにぜひと言って参加してもらうことなどは可能なはずだ。

その結果として「必要ない」と判断されればそれはそれで全く問題ないし、10回やってひとつでも企業に還元されたら、その企業への貢献はものすごく大きなものだ。

まとめ

人材育成担当は、ボトム層に研修を提供するのだけが役割ではない。トップ層への支援も行い、企業全体の人材レベルを上げるのが本来的な存在理由だ。

実際会社の未来を決める立場にはなくとも、自分でも企業の将来を考え、行動を起こせば、企業のためにもなるし、仕事が非常にやりがいのあるものになるだろう。

ぜひ、上長向けの知識供給についても、考えてみてはいかがだろうか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*