- 経営の方向性に合わせて足りない部分を研修に組み込んだ
- 上層部も現場のトップもこの研修は必要だと言っている
- 講師との打ち合わせも入念に行って、後は参加者を募るだけだ
ここまで準備した状況で、なぜか研修参加者が集まらないという話は良く聞く。
しかたなく強制して参加してもらっても、やる気のない受講生が多くなり、研修自体がうまくいかなかったという話も良く耳にする。
どうやったら、やる気のある研修参加者を増やせるか?
Contents
そもそもなぜ受講生が集まらない?
会社のニーズと合っているのに任意で募集すると集まらないというときは、大抵、次の3つの理由だ。
理由その1 忙しいから
仕事が忙しくて、参加をしたくても出れない。多少の興味はあっても、忙しい現状の中、目の前のタスクをこなす方が大切になっている。
また、チーム全体が忙しいので、参加を言い出しづらい雰囲気がある。また、結局それを乗り越えてまで行こうとは思わない。
理由その2 興味を惹かれないから
現場トップに話を聞いて意見を反映していたとしても、現場の社員の興味とは違っていたということもある。
本来的には研修の実施は経営判断だ。なので、興味云々とは関係がないが、参加者を公募する研修では興味を持ってもらえないことには始まらない。
理由その3 知らないから
研修自体の存在を知らないパターンも良くある。メールが一回流れて、掲示板やグループウェアに短期間表示されていたくらいでは、なかなか目に入ってこない。他にもたくさんの案内が毎日洪水のように押し寄せてくるからだ。
また、知っていても今度こういう研修が実施されるのだなぁ、まぁ自分には関係ないしと、判断してしまう。
例えば案内に、「タイトル」と「時間」「講師名」しか書いていないようだと、その時点で興味は湧かない。仕事を処理するのが優先になって当然だ。
マーケティング的に考える
それが会社に必要なことであれば、しっかりとやる気のある人を集めるべきだ。そのためにはマーケティング的な発想が使える。
マーケティングではよく顧客数を次のように分解して施策を考える。
客数 = 対象人数 × 認知率 × 知っている人の購買率
実際にはもっと分解するが、概ねこのような捉え方だ。同様に受講生集めでは次のように考えればいい。
受講生の数 = 対象の社員数 × 認知率 × 知っている人の参加率
対象の社員数は増えないから、「認知率」と「参加率」を上げる方法を考えればいい。分解すると具体的な施策が出やすくなる。
認知率を上げる
認知率を上げるためにはどうしたらいいか?
手っ取り早いのは告知の回数を増やすことだ。参加者向けに案内のメールを一本送るだけではなく、最低でも3本はメールを送る。ただし、同じ内容ではなくて、興味を惹かれるような内容だ。
- 1通目は通常の案内
- 2通目は講師の紹介
- 3通目は参加することで成長することを具体的に伝える
などだ。
各現場のトップに声がけを頼む方法も効果的だ。管理部門から来た案内よりも、直接の上司から来た案内の方が目を通しやすくなる。
朝礼の場や、全体会議の場で5分ほど時間を貰って案内を行うなどもいいだろう。
これだけではなく、認知率を上げるという観点で考えれば、いくらでも施策は出てくるはずだ。
参加率を上げる
募集要項にタイトルと講師名、日時、後は概要だけ書いてあっても人は集まりにくい。基本的に誰もが忙しいし、自分の仕事を進めたいと思っている。「研修なんて後回しにしたい!」と思っている人が大半だ。
だからこそ、社内ながら「広告を作っている」という発想を持つしかない。忙しさなどのハードルを越えてでも「参加して欲しい」と思ってもらうのだ。
ハードルを無くす方向へ努力することも、もちろんできる。必要なときはすればいいと思うが、それ以上にこれらの壁を乗り越えるだけのやる気のある人たちに参加してもらった方がいい研修になるのはお分かりだろう。
魅力的な案内を作るには次の手順でやればいい。
研修の対象は?
どのような人に参加をして欲しいかを箇条書きで7つ書き出す。
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悩みや改善したいと思っていることは?
その人たちが、悩んでいることは何かを箇条書きで7つ書き出す。研修に関係する範囲内で、だ。
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研修の内容は?
参加研修の内容を「魅力的に」箇条書きで7つあげる。
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研修のベネフィット(利益)は?
参加することでどう変わるのか? 何がよくなって、彼らの将来が変わるのか? 特徴ではなく、メリット、さらには一歩上のベネフィットを書き出す。
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なぜこの研修が必要なのか?
なぜこの研修をすることになったのか3つ書き出す。会社の状況と、現在抱えている問題点など。
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タイトル
最後に魅力的なタイトルを考える。研修案内の一番上に表示するものだ。大抵の場合、ベネフィットの中で一番強力だと思うものを少し変更すれば使えるはずだ。
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OKだろうか? マーケティング部門は7つではなく30個程度は考えている。7つくらいであればどうにか出るだろう。
後はこれを並び替えて、研修案内を作ればいい。
【タイトルゾーン】
1日で会計がわかるようになる!
管理会計マスター研修
研修担当の○○よりご案内
仕事をしている中で、次のようなことを考えていませんか?
【悩みゾーン】
- 会計を勉強したいとは思っているがなかなか時間がない
- 部門の数字をもっと会計的に理解したいと思っている
- BS/PLの読み方ももう忘れてしまった
- etc
- etc
- etc
- etc
それでしたら、この研修案内をご確認ください。きっと役立ちます。
【理由ゾーン】
(会社名)では会計的知識が必須に
ご存知の通り、現在(会社名)では、部門ごとの独立採算制が引かれています。部門ごとだけではなく、チームごとに利益計算をしているチームもあります。
そんな状況ですから、会計に関する知識を持っていないとチームをリードすることができません。また、会計がわかっている人材が少ないという指摘も色々なところから上がってきている状況です。
そのため、人事部では次の研修を開催することになりました。
1日で会計がわかるようになる
管理会計マスター研修を開催
【対象ゾーン】
このような方が対象です。
- 会計に興味がある方
- 一度勉強したが挫折してしまった方
- 将来、部門リーダーを目指す方
- etc
- etc
- etc
- etc
参加することで、次のようなメリットを得られます。
- 1日で会計についてわかるようになる
- 会社の決算書が読めるようになり、現状を把握できる
- 自身の部門の貢献度や方向性がわかる
- 独立採算制の中で力を発揮できる
- etc
- etc
- etc
研修の詳しい内容は?
【内容ゾーン】
研修の内容は次の通りです。
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時間:
場所:
申し訳ありませんが、定員があります。
より理解度が高く伝わりやすい研修を実施するため、定員を設けています。参加できる人数は○○人までとなっています。
ご興味のある方は、早めに申し込みフォームに記入してください。
(人数を絞らないと、すぐに申し込もうという意欲が出てこない。なるべく早く動いてもらえば、増席や2回目の開催なども考えられる。)
お申し込みはこちら
お申し込みフォームそのものや、そこへのリンクを貼っておく
この研修案内書を作ることによる効果
だいたい3倍くらいの参加者になる。AIDAというマーケティングの基本に忠実に則ってメッセージを作っているからだ。
- 魅力的なタイトルで注意を持ってもらい
- 今の悩みに共感して興味を持ってもらい
- 研修参加によって得られるものを明確に伝えて欲求を喚起し
- 申し込みというアクションを起こしてもらう
人間の行動パターンに沿った案内書になっている。
また、それだけではなく、スクリーニングも行っているので、いい人しか集まらないし、目的に沿っていない人は来なくなる。
まとめ
以上、研修参加者を増やすための具体的な方法だったがいかがだっただろうか?
結局、魅力的な案内書を作るためには、魅力的な内容の研修にする必要がある。研修を企画し、案内書を作ってみて、どうにも自分が参加したいと思わなければ、他の人もきっと思わない。内容そのものから見直してみる必要がある。
ちょっと手間のかかる作業だが、いい研修を実施するためにも、ぜひ実施していただきたい。