「お客様満足度No.1!」
このような顧客満足度に関するキーワードを広告で使用している企業は多い。
しかし、その実態はどうだろうか。
目の前の仕事に追われ、顧客満足度を高めるための時間がない、という企業も多いことだろう。
このページでは、社員の考え方と行動を変え、顧客満足度を高めるために必要な基礎知識についてまとめる。
人事担当者や研修担当者、部下の指導担当者は、ぜひ参考にしてもらいたい。
Contents
顧客満足とは?
顧客満足(Customer Satisfaction)は、その頭文字を取り「CS」といわれることが多い。
サービス業が広まるにつれ、顧客満足に対して定量的な評価をするため、サービスや商品の満足度を数字で表すようになった。
マネジメントの父とされるピーター・ドラッカーは、「顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である」と著書に記している。
企業経営においては、顧客の欲求を理解し、創出し、満足させることが顧客創造に繋がる。
顧客志向こそ企業経営の肝ということだ。
顧客満足がお客様をファンに変える
お客様は商品を購入したりサービスを利用したりする際に、「期待」をしている。
「期待」とは、この金額を払えばこれくらいの品質・サービスが受けられるだろう、という予測のことだ。
その期待に応えることができれば満足してもらえるが、逆にその期待を下回れば不満足となってしまう。
リピーターになってもらうためには、期待に応えるだけでなく、期待を超えなければならない。
ここまでしてもらえるとは思わなかった、その感動がお客様をファンに変えるのである。
顧客満足による波及効果
消費者行動分析の専門家であるジョン・グッドマンによると、口コミの波及効果にはある法則が見られるという。
ジョン・グッドマンの法則
好意的な口コミ:1人が4~5人に伝える。
非好意的な口コミ:1人が9~10人に伝える。
つまり、消費者である顧客の期待を超えれば、良い印象を持った新規顧客の獲得につながり、逆に顧客の期待を裏切ると、その倍のスピードで悪い印象が広がっていくということだ。
顧客満足でビジネスを安定して成長させる
近年、多くの市場は成熟した状態に入っている。
爆発的に新規顧客を開拓できるわけではないため、既存顧客の心を掴み、継続利用してもらうことがますます重要になってきている。
想像してみてほしい。
さほど変わらぬ質の商品を買うとしたら、満足するサービスを受けた相手と全く知らない相手とでは、どちらから購入するだろうか?
多くの人が、満足するサービスを受けたことのある相手からの購入を望むだろう。
心を掴まれたファンはリピーターになり、同じ商品を繰り返し購入するだけでなく、さらに同一ブランドの別の商品も購入するかもしれない。
既存顧客を囲い込むことで、ビジネスをより安定して成長させていくことができる。
顧客満足度を高めるための最低限の準備
顧客満足度を向上させるためには、最前線で顧客対応している接客担当者を育成していかなければならない。
お客様から見ると、ベテラン社員も、入ったばかりのアルバイトも、「その店の従業員」という点では同じだ。
つまり、お客様の期待に応えるためには、誰が対応することになっても高いレベルで接客できるようにしなければならないということだ。
顧客満足度を高めるために、まず、新しく現場に入る従業員を安定した接客ができるレベルまで育てることが、最低限の準備だと言える。
顧客満足度を高めるために基本を押さえる
既に当たり前にできているという人にとっては基本中の基本であっても、初めて接客業に携わる人にとっては、意外と知らないことも多い。
身だしなみ
「常識の範囲で・・・」「周りの先輩に合わせて・・・」などのような一言で、新人への指導を済ませてしまっていたとしたらとても危険だ。
お客様と初めて接する担当者の身だしなみは、その企業やブランドのイメージを印象付ける。
自社商品やサービスの玄関口として、どのレベルの品格や清潔感が求められるかは、言語化し、明確に伝えておきたい。
言葉遣い
お客様とのちょっとした会話にも注意すべきポイントは多い。
本人に悪気はないが、言葉の使い方や敬語を間違えている場合もある。
また、若者同士であれば問題のないやり取りも、年齢の高いお客様には通じなかったり、失礼に当たる場合もある。
簡単で見落としがちなことほど注意が必要だ。
挨拶・表情
そのお店で購入するかどうかは、第一印象で決まると言っても過言ではない。
店舗に入ったときに気持ちよく笑顔で挨拶してくれるお店の方が、お客様の購入意欲は増すだろう。
しかし、目の前の業務に集中するあまり、お客様の来店に気付かなくなってしまう新人店員も多い。
挨拶や表情が顧客満足度に与える影響を伝え、全スタッフが同じレベルでできるように指導しておきたい。
顧客満足度を向上させるための目的とルールの共有
基本的なスキルを身につけても、臨機応変に対応することができなければ顧客満足度は上がらない。
そして、「~しなければならない」というルールに縛られすぎると、お客様一人ひとりの希望を叶えることは難しくなる。
そのため、本来は、従業員全員に裁量権を持たせて、自分の考えで決定し、お客様のニーズにその場で素早く応えていくようにできるのが良い。
それが難しい場合でも、「ここまでであれば自分で判断して動いていい」というルールを決めて、社内で共有しておくことはできるだろう。
全ての業務の目的が顧客満足度の向上にあることを従業員全員が理解し、自ら責任を持って判断し、行動していけるようになることが理想だ。
まとめ
顧客満足度を高めるためには、新人も含めた全ての従業員が共通認識を持ち、自身の接客レベルを上げていかなければならない。
そのために、まずは顧客満足度の重要性を伝え、接客の基礎知識とポイントを教えながら、求められる接客レベルにまで育てていくことが必要だ。
顧客満足度で他社に圧倒的な差をつけられる企業が、一社でも多く出てきてほしい。