【ヒューマンエラー研修】ミスを減らすために知っておくべき脳のメカニズム

ヒューマンエラー
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ヒューマンエラーはなぜ繰り返し起きてしまうのか。
社歴や経験を問わず、ミスは必ず発生してしまうものだ。

このページでは、仕事におけるミスを減らすためにヒューマンエラー研修で指導したいポイントについてまとめている。
ミスを減らしたいと思っている人や、部下の指導担当者、研修担当者は、ぜひ参考にしてほしい。

どのようなヒューマンエラーが多いのか

仕事では多くの情報がやり取りされるため、「物事を忘れるヒューマンエラー」は誰もが経験したことがあるだろう。
また、資料作成をしている人や膨大なデータを扱う人に多いのが「見落としのヒューマンエラー」だ。
他にも、相手に伝わっていない・聞いていないといった「コミュニケーションのヒューマンエラー」や、最適なタイミングで正しいジャッジができない「判断を間違えるヒューマンエラー」もよく見受けられる。

ヒューマンエラーが起こる4つの理由

これらのヒューマンエラーはなぜ起こるのか。
それは個人の能力の問題だけではなく、人間の脳がミスを発生しやすいメカニズムになっているためである。

ヒューマンエラーを減らすために、以下の4つの「脳のメカニズム」についてヒューマンエラー研修で指導しておきたい。

(1)メモリーミス

頼まれていた仕事を忘れていた、メモを書き残すのを忘れていた、というようなヒューマンエラーを減らすには、「記憶」についての脳のメカニズムを理解することが必要である。

ヘルマン・エビングハウスが提唱した忘却曲線によると、聞いた話の内容について、20分後には58%、1日経つと26%しか覚えていないそうだ。
つまり、上司からの指示を聞いても20分後にはその半分を忘れてしまう、ということである。

コンピューターにはデータを長期保存するHDDと一時的に蓄える作業領域であるRAMがあるが、言うならば人間はこのRAMを使って一時的に記憶を蓄えているだけなのだ。
脳のRAMに蓄えられる情報は、せいぜい7つ前後と言われている。
そのため、脳は新たな情報が入ってくると古い情報を削除してしまう。
徐々に忘れるのではなく、突如忘れてしまうため対策を打つことができないのが難しいところだ。

このメモリーについての脳のメカニズムを理解し、忘れることを前提としたヒューマンエラー対策をしておかなければならない。

(2)アテンションミス

メール文章の誤字脱字、数値の間違え、というようなヒューマンエラーを減らすには、「注意」についての脳のメカニズムを理解することが必要である。

人はあるものに注意を払うと他のものが見えなくなってしまう。
脳はコンピューターのように機能の50%ずつを二つの作業に均等に充てることはできず、一つの作業であれば100%集中できるが、二つになると20%程度にまで急激に低下してしまうそうだ。

このアテンションについての脳のメカニズムを理解し、マルチタスクではなくシングルタスクで目の前の業務に集中させるようなヒューマンエラー対策をしなければならない。

(3)コミュニケーションミス

お互いの認識が違っていた、説明が相手にきちんと伝わっていなかった、というようなヒューマンエラーを減らすには、「コミュニケーション」における脳のメカニズムを理解することが必要である。

近年、メールやチャット、SNSなどによるネットコミュニケーションが増えている一方で、直接会って話す対面コミュニケーションは減少している。
対面コミュニケーションでは、聞き手は相手の言葉の省略されている部分を、相手の表情や自分の記憶を頼りに脳が補完し、解釈を加えて理解していく。
特に日本には「以心伝心」や「阿吽の呼吸」という言葉があるように、言語化しなくてもある程度の意思疎通を図ることができるという文化もある。

しかし、文字や文章のやり取りでは脳の補完機能が働かず、話し手と聞き手の間にズレが生じることでミスへと繋がってしまうのだ。

このコミュニケーションにおける脳のメカニズムを理解し、円滑なコミュニケーションを図ることができるようなヒューマンエラー対策をしていかなければならない。

(4)ジャッジメントミス

間違った意思決定をした、なぜあんな決断をしたのだろうと後悔する、というようなヒューマンエラーを減らすには、「判断」における脳のメカニズムを理解することが必要である。

何かを判断する時に、人は「早い思考」と「遅い思考」という2つの思考回路を使う。

「早い思考」とは、『いちごの色は』と聞かれたときに『赤』とすぐに答えが思い浮かぶような、瞬間的に行われる思考のことだ。
「早い思考」は経験や知識などの記憶から生まれるため、記憶自体に偏りや誤りがあったり、情報が不足している場合、間違った答えを出してしまう。
判断ミスは、この「早い思考」が原因であることが多い。

「遅い思考」とは、意識的にかつ論理的に判断を下す際に使われる思考のことだ。
物事を判断する際は、「早い思考」だけでなくできるだけこの「遅い思考」も使う習慣を身につけたい。

このジャッジメントにおける脳のメカニズム理解し、判断が正しいかどうか確認するステップを踏めるようなヒューマンエラー対策をしなければならない。

まとめ

ここまで、仕事におけるミスを減らすためにヒューマンエラー研修で指導したいポイントについてまとめてきた。

ヒューマンエラーは個人の能力だけではなく、脳のメカニズムを理解した上で、適切な対策ができていないために起きてしまうものだ。

この記事を参考に、あなた自身そしてあなたの会社でヒューマンエラーが少なくなり、効率よく仕事ができるようになること願っている。

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