新しく営業部の部長を選ぶときが来たとしよう。次の2名が候補に上がっている。二人とも社内では一目置かれる存在だ。
- A: これまで失敗をせずに、成果を上げてきたに人物
- B: 数多くの失敗をしてきたが、その度になんとかしがみついて戻って来た人物
あなたならどちらを部長に選ぶだろうか?
真剣に考えてみると、、、
現実的にはところではAの人が選ばれるだろう。うちの会社でも、どちらの人を選ぶかというと、Aの人を選んでしまいがちだと思う。
明確に「始末書の数が多い方を出世させる」とうたっている企業であればBの人を選ぶだろうが、基本的にはAの人が選ばれる方が多い。
プラスの印象しかないわけだから当たり前といえば当たり前だ。
しかし、この選択は企業の将来に影を落とす可能性もある。
守備型と攻撃型
人材には守備型と攻撃型の2種類がいる。割合的は企業によるだろうが、一般的には攻撃型が4割、守備型が6割だといいったところだろうか。ベンチャー企業であれば7:3程度、大手企業になると3:7のような形だ。
これまでに失敗を繰り返してきた人は攻撃側が多い。攻撃は失敗する可能性が高いからだ。
反対に失敗せずに成功を重ねてきた人は、守備型の人だ。とんでもなく優秀なパターンもあるにはあるが、この場合は悩む必要がないくらい頭角を表しているから気にしなくていい。
この会社が求めているものによって、どちらが出世すべきかは変わる。
攻撃型が生きるとき
例えば、どうしても成長させたい事業があるとする。急成長させたい事業だ。現状の延長線上では到底追いつけないような目標も設定してある。
こういったときに、これまで失敗をしていない人物を当てると、ほとんど成功しない。
反対に攻撃側の人を当てると、大きくこける可能性もあるが、それ以上に成功する可能性が高まる。
攻撃側の人は失敗を重ねている。それもただミスをしたわけではなく、攻めすぎての失敗だ。そういう人材は攻撃の感覚を持っている。
その中でも何回も失敗している人物であれば、どの程度行ったら崖から落ちてしまうかというの感覚でつかんでいる場合が多い。
だからこそ、失敗してもそこから学び、再度そのギリギリを攻めることによって、短期で這い上がって来れるわけだ。
だからこそ、伸ばしたい事業があるときには、攻撃側、具体的に言うと失敗や始末書の数が多い側を選ぶべきだ。
順調に伸ばしたいとき
この場合は反対で、守備側の人を選んだ方がいい。
また、撤退戦。売り上げが徐々に下がっていって、会社としてもそれを容認している場合にも彼の方が有効だ。撤退戦はじたばた動くよりも、いかに最大利益を確保しつつ小さくなっていくかの方が重要だ。
もちろん経営判断として、「この事業はまだいける」と思っているのであれば、攻め側を配置して、失敗してもいいから大逆転の手段を探せ、という投げ方をすればいい。
要はケースバイケースで、常に優秀な人材というのはなかなかいないとい話だ。
「有事の人材は平時ではいびつなものだ」というセリフがある小説であったが、まさしくその通りで、その時々で必要な人材を投入するのが正しい。
その一つの参考指標になるのが大きな失敗の数だろう。
経営者では?
経営者の場合は、Bの人がなった方がいい。
企業経営において失敗をし続けて企業を成長させた経営者は数多くいるが、失敗をせずに成長させている経営者は本当に少ない。困ったことにいるにはいるのだが、ほとんどが前者だ。
企業に安定成長という概念はなく、成長しようとトライアンドエラーを繰り返して、どれかが当たり、結果として安定成長をする。これがほとんどの企業の成長の仕方だ。
また、大きな失敗があっても、そこばかりを気にしている場合ではなくすぐに次の手を打たないといけないのが経営者だ。であれば、すでに幾度となく失敗しメンタルタフネスが付いている人材を登用した方がいいのは当然だろう。
まとめ
どちらがいい人材だというのを一概には言えないが、常に人材の得手不得手を把握しておくことは人材登用においてとても大切だ。
失敗の数を含め把握し、人材登用の参考にすることをオススメする。