ロジカルシンキングを強化することで、営業成績を向上させることができる。
はたしてロジカルシンキング研修でどのようなことを指導すれば良いのだろうか。
このページでは、営業職として身につけておきたいロジカルシンキングの手法についてまとめている。
営業パーソンや研修担当者はぜひ参考にしてほしい。
Contents
ロジカルシンキングは人間のDNAにないもの
我々人類にとって、ロジカルシンキングは持って生まれたスキルではなく、学習や経験を積み重ねることでしか身につけられないスキルの一つだ。
オックスフォード大学のある生物学者によると、人間の脳は7万年前にアフリカの大草原に暮らしていたときとあまり変わらないらしい。
当時の人類は、草むらの中で物音がすると反射的に逃げ出していた。
なぜなら、物音がした理由を考えている間に猛獣に襲われてしまうからだ。
つまり、人間の脳は基本的に条件反射で直感に頼るようにできており、データを分析したりエビデンスを確認するなど、ロジカルに考えることは人間のDNAには本来組み込まれていないということである。
論理的に説明して商品の購入へと導く営業パーソンは、直感だけでは成果を上げることはできない。
ロジカルシンキングが持って生まれたものでないことを自覚し、学習や経験を積み重ねる自己研鑽に励んでほしい。
アリストテレスの三段論法
アリストテレスの三段論法は、「大前提」と「小前提」から「結論」を導き出す論法である。
「AはBである」
かつ
「BはCである」
ゆえに
「AはCである」
このように、「A」と「C」という直接的には関係のない事柄を、両方と関係性のある「B」という事柄を用いて論理的に結びつける論法のことだ。
三段論法の有名な例として、「ソクラテスは人間である」かつ「全ての人間は死す」ゆえに「ソクラテスは死す」という言葉があり、論理性が必要とされるあらゆる場面で重用される考え方とされてきた。
しかし、「A=C」「B=C」ともに100%の確証がなければ「A=C」とは言えないのではないか、という三段論法に批判的な意見もある。
それでも、営業トークに説得力を持たせるために三段論法が有効なケースは多く、営業として身につけておきたいスキルの一つである。
演繹法と帰納法
三段論法は別名「演繹法(えんえきほう)」と呼ばれ、先に書いた通り大前提と小前提を基に一つの結論を導く手法である。
それに対し、「帰納法(きのうほう)」は多くの事例から共通ルールや類似点をまとめて、複数の結論や主張を導き出す手法である。
一見すると、一つの限りなく正解に近い結論を導く演繹法と、正解かどうか分らない複数の結論を導く帰納法では、演繹法の方が優れているように思えるが、顧客に複数の商品を提示したり、選択肢を楽しんでもらう際には、帰納法を用いる方が顧客の購買意欲を高めることができる。
そのため営業パーソンとしては、演繹法だけでなく帰納法も合わせて身につけておきたい。
ロジカルシンキングの代表的な手法
ビジネスにおけるロジカルシンキングは、米国コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの出身者によるコンサルティングノウハウがベースになったと言われている。
代表的なロジカルシンキングの手法には、以下のようなものがある。
MECE
Mutually(互いに)・Exclusive(重複せず)・Collectively(全体的に)・Exhaustive(漏れがない)の頭文字をとった言葉で、「重複なく・漏れなく」考えるための手法だ。
So What / Why So
結論と根拠が適切に繋がっていることを確認するための手法だ。
「So What?」はその根拠がどういう結論を導くのかについて、「Why So?」はその結論の根拠が適切かについて、それぞれ確認することができる。
ピラミッドストラクチャ
結論と根拠を多段に組み立てることによって作られる構造で、ドキュメントの骨子全体の構造を表現するための手法である。
ロジックツリー
問題の分析や課題の整理の結果を、ツリー構造として表現する手法である。
考える目的により、様々なロジックツリーの種類がある。
営業成績を向上させるために、これらの手法をマスターしてロジカルシンキングができるようになることが有効だ。
まとめ
ここまで、営業職として身につけておきたいロジカルシンキングの手法についてまとめてきた。
三段論法(演繹法)や帰納法など様々な手法を巧みに用いることで、顧客との交渉を優位に進めることができる。
営業パーソンは、研修などを通してロジカルシンキングの正しい知識とノウハウを身につけてほしい。