入社後半年間のOJTアプローチのポイントとは?

OJTアプローチ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

新入社員をできるだけ早く戦力化するためには、入社してから半年間のOJTが極めて重要である。
しかし、効果的なOJTができていなくて悩んでいるメンターや人事担当者も多いことだろう。

このページでは、入社後半年間のOJTアプローチのポイントについてまとめている。
新人教育担当者はぜひ参考にしてほしい。

人材育成の現状

人材育成とは、「自分の分身を作るのではなく、自分を超える存在を育む」ことである。
企業間の競争が激化の一途をたどる昨今、上司や先輩社員は、自分以上に仕事ができる部下を育成する必要性が増している。
しかし、部下を育てることのできる人材は圧倒的に不足しており、厚生労働省が発表した「平成27年度能力開発基本調査」によると、アンケートに参加した50%以上の企業が「指導する人材が不足している」と回答している。
人やモノ、仕事のあり方や産業構造が変わった今、「背中を見て育て」というのは時代錯誤である。
10人の部下がいれば、10通りの育成アプローチをもとにしたOJTを実施しなければならない。

入社1ヶ月目までのOJTアプローチ

これまでの教育の違いやジェネレーションギャップなどにより、新入社員の指導を難しく感じてしまうことは多い。
このような場合に指導する側が意識しなければならないのは、以下のような点だ。

・全ての行動に意味があることを教える

新入社員が一番最初にぶつかる壁として、ビジネスマナーの習得がある。
名刺交換の所作や顧客のご案内、言葉遣いなど、つい先日まで学生だった新卒入社の社員には理解できないものが多いはずだ。
しかしこれらも、「なぜこうするのか」という「行動の意味」を教えることで、素直に受け止めることができ、格段に習得度合いが高まっていく。
顧客より名刺を下の位置に構えるのは、相手を敬い自分より目上であるというボディランゲージと言えるし、顧客に階段を先に登ってもらうのも、つまずいて転びそうになってしまった場合にとっさに守ってあげられるようにするためだ。

指導する側は長い社会人生活でこういった所作にも慣れ、当然の行動として体現できたりするものだが、新人にとっては当たり前ではない。
OJTで全ての行動にどんな意味があるのか説明していくことが、的確な行動をとれるようになる近道である。

・行動を具体的に分解して伝える

いわゆる「察する」というのは、ある程度訓練を積んで仕事に慣れてきた段階で初めて実現できるものである。
そのため、初期の段階では、阿吽の呼吸を期待するのではなく、「いつまでに」「何を」「何のために」「どう行動してほしいのか」を、1から10まで伝えなければならない。
その際は、一つ一つの行動に分解し、パーツごとに指示・管理することが望ましい。

そして、仕事をこなせるようになってきたら、徐々に仕事の「縦幅」と「横幅」を増やしていくことで成長に繋げていく。
「縦幅」とは仕事の質のことで、業務のクオリティを向上させていく。
「横幅」とは仕事の範囲のことで、担当業務の種類を増やしていく。

・ルールを浸透させる

いくら多様性を尊重するような会社でも、業務マニュアルや就業規則は守らなければ、会社は混乱に陥ることになる。
各々が個人的な解釈で勝手な行動を取ってしまうことは損失につながるため、ルールをしっかりと共有しておくことが重要だ。
メンターは、OJTの前に自分自身も就業規則や各種規程を読み返すことをお勧めする。

入社3ヶ月目までのOJTアプローチ

3ヶ月近く勤務を共にするようになると、部下一人でできる仕事が増えるため、メンターとの接点が徐々に減ってしまうことがある。
ここで重要になってくるのは、OJTでのコミュニケーション強化だ。

・大切なのは長さではなく頻度

1時間の面談を1回行うよりも、10分の会話を6回繰り返した方が、部下との信頼関係は深まっていく。
「上司とコミュニケーションがとれている」と認識させるためにも、月に一度部下と飲みに行くよりも、毎日1分の声を掛けを実施すると良い。

・ストロークの癖を知る

ストロークとは、コミュニケーションにおける言動や働きかけのことで、心を満たす肯定的なストロークと、心を消耗させる否定的なストロークがある。
例えば、部下を褒めるか叱るか、自分から声をかけるか相手から話しかけられるまで待つかなど、人には様々なストロークの癖があり、それを知っておくことで、マイナスの影響を与える否定的なストロークを減らすことができる。

入社6ヶ月目までのOJTアプローチ

入社してから半年も経つと、実際に現場に立たせながら、その都度フィードバック行うことが増えてくる。
この段階では、特に「報・連・相」の質を高めることが必要だ。

・「真・報連相」

一般社団法人日本報連相センターが提唱している「真・報連相」では、以下の3つの視点を持つことが重要だと言われている。

「目的」:何のために報連相させるのかという目的をしっかり持つこと。 
「相手(部下)」:部下が今、報連相できる状況にあるのか、部下にとってこの報連相は意味のあることなのかを考えること。
「自己」:自分にとっての報連相の意味も考える。

業務遂行のためにも、問題解決のためにも、報連相がきちんとできているか見直すことが大切だ。

・報連相をしない原因をなくす

もし部下が報連相をしない場合は、以下のような原因が考えられる。

(1)いつ・何を報連相をしたらいいのかわからない

「報告」のタイミングや「相談」の目的、「連絡」する理由がそもそもわかっていないと、報連相は行われない。
改善のためには、改めて報連相の必要性について説明し、実行する習慣をつけさせなければならない。

(2)見返りがない

「報告」したことにより叱られた、「連絡」したが無視された、「相談」したが答えがなかったなどにより、次第に報連相が行われなくなっていく。
改善のためには、OJTの重要性をメンター自身が自覚しなおすことが必要である。

(3)上司からの指示が明確でない

業務の目的や目標が不明瞭であったり、現状の問題意識が共有されていないと、報連相は行われない。
改善のためには、もう一度入社1ヶ月目の段階に戻り、「行動を具体的に分解して伝える」ことからやり直すのが効果的である。

まとめ

ここまで、入社してから半年間のOJTアプローチのポイントについてまとめてきた。

新入社員をできるだけ早く戦力化するためは、入社後の成長段階に合わせたOJTが必要である。

メンターは仕事の一つ一つに意味付けを行いながら、丁寧なOJTで後輩を育てていってほしい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

このページの続きや関連ページは下記から一覧で確認できます。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*