チーム全体の生産性を上げたい、そのための人材を育成したい、と考える人事担当者やマネージャーは多いだろう。
チーム生産性を上げるためにはどんなことを知っておくべきなのか。
このページでは、チーム生産性向上の中心を担う中堅社員を育成するために、知っておくべき知識についてまとめる。
Contents
生産性とは?
生産性とは、「インプットに対して得られるアウトプットの比率」のことだ。
これだけを見ると、少ないインプット(投資)から、より多くのアウトプット(成果)が得られる状態を目指すべきだと感じられるが、実際はそうとは限らない。
例えば、生産性を高めるために残業時間や作業時間を減らす場合、極端に減らしてしまうと成果が維持できず、結果的に生産性の低下に繋がってしまう場合もある。
チーム生産性が低下する要因
今の状態で会社は回っている、運営も安定している、という企業では、チーム生産性について考え直す必要はないと思うかもしれない。
しかし、どんな企業でも、将来のためにチーム生産性の向上に取り組む必要がある。
近年は新規採用が難しくなっているため社員を増やすことができず、会社が成長すればするほど、既存社員への業務負荷が増加してしまう傾向にある。
また、働き方改革で残業時間を減らす取り組みがされ、定時以降は強制的に消灯したり、プレミアムフライデーが導入されたりと、業務時間を減らす取り組みをしている企業も多い。
少ない人数で、さらに業務時間を減らした上でチーム生産性を上げるためには、今ある仕事の改善すべき点を見極め、無駄な時間を減らしながら、効率良く働いていくことが必要だ。
チーム生産性向上のための見極め
チームの生産性向上のためには、必要なものは増やさなくてはならない。
そのため、減らすべきものと、増やすべきものの見極めが必要になってくる。
では、誰がその見極めをするべきか。
それは、日々の業務に精通し、会社視点も持ち合わせている中堅社員だ。
減らすべき業務と増やすべき業務はどれか、その見極め方法を知ることが中堅社員には必要である。
チーム生産性向上のための中堅社員の役割
「中堅社員」とは、一般的に入社3~7年、または20代中盤~30代前半くらいの社員を指すことが多い。
中堅社員は、自分の仕事を確実にこなすだけでなく、後輩社員の育成や上司とのコミュニケーションの窓口となることも求められる。
そのため、仕事の中で改善すべき業務を見つけやすいポジションにいる。
自分のことだけでなく、チーム全体を見て、周囲とコミュニケーションを図りながら、全体の目標達成に向けて積極的に業務改善に取り組むことが求められているのである。
チーム生産性向上のために減らすべき業務の見極め方
減らすべき業務を見極めるための重要なキーワードがある。
「わざわざ」「~の度に」
仕事をしている中で、この言葉が浮かんだら、その業務には改善の余地があると考えられる。
例えば、
「ミーティングの度に、わざわざホワイトボードに書いた内容をタイピングして資料を作っている」
という場合、板書の内容を写真に撮ってデータで残しておくではダメなのか、すべての会議で資料を作成する必要があるのか等、考えることができる。
「すごく」「とても」
これらの形容詞や副詞も、業務改善が必要かどうかを見極めるキーワードとなる。
「最近お客様からすごくこの問い合わせが多いんですよ」
という意見が出てきた際には、実際にどのくらい問い合わせがきているのかを計ることで、時期的なものなのか、それとも何か改善すべき点があるのかを判断することができる。
新入社員の「なんで」
新入社員との日常会話や雑談の中には、業務改善に繋がるヒントが多く隠されている。
「なんでこの業務をやっているのですか?」
慣れていない新入社員だからこそ感じられる疑問や、気付くことができる不便さがある。
中堅社員は、新入社員と積極的にコミュニケーションを図り、意識してこのキーワードを拾い、業務改善が必要かどうか考えていくと良い。
チーム生産性向上を妨げる強い自責思考
社会人にとって「自責思考」は大切なことで、失敗をしたら、自分が悪かった部分はしっかり認めて反省し、次に生かしていくべきである。
しかし、自責思考が強すぎると、その人自身は成長できるが、組織の成長を妨げてしまう可能性がある。
データ入力でミスをしてしまったAさんとBさんの例で考えてみよう。
▼自責思考が強すぎるAさん
強い自責思考から、全て自分が悪いと考えた。
そのため、次から同じミスをしないように、それぞれの数値の入力のルールを確認し、チェックすべきところをすべてメモを取り、提出の前に再度チェックをするようにした。
▼自責思考が強すぎないBさん
自分が確認を怠ったのが悪いと考えた。
確認を徹底するとともに、他の人が同じミスをしないように、「このフォーマットは分かりづらくないか」「数値を自動計算できるように設定しておけば良いのではないか」と考え、上司に相談してフォーマットを変更した。
AさんとBさんを比べると、Aさんの方が個人のスキルは上がっているかもしれない。
しかし、フォーマットを変更したBさんの方が、チーム生産性の向上には繋がっている。
中堅社員は、自分が悪かった部分を認めることは大前提として必要だが、すべて自分の責任と考えるのではなく、誰がやってもミスしないようにすることはできないか、について考えることが必要だ。
まとめ
中堅社員には、業務改善をしてチーム生産性を向上していくことが求められる。
そのためにも、改善すべきかどうか見極めるキーワードやチーム生産性を高める方法について、中堅社員が学ぶ機会をつくってほしい。
この記事を読み、チーム生産性を向上させることができる中堅社員が一人でも増えることを願っている。